夕べのテレビ、みんな観たかな?いろいろな思いが彼らやみんなの心の中を過ぎったんだろうな、きっと。そう、去年の今頃、ボクも一人の視聴者として画面の中の彼らを見つめていた。

 その後、選考からこぼれてしまった彼のあの背中の残像がボクの脳裏に焼き付いて離れなかった。Styleの原点は、実はあの背中にあったんだ。自信と不安の狭間で揺れる心を鞭打って走り続けながらも、期待した結果に裏切られた一人の男。打ち砕かれた夢のカケラをそっと置き去りにして立ち去る背中、そしてそれを見送る視線、絡み合う複雑な心境。確かに番組として演出された部分があるという抵抗感がボクにあったのは否めない。けれど、それすら忘れて「負けるなよ、いつかまた会える日が必ず来るから、カワラナイデでいてほしい・・・」そう無意識に心の中で呟いている自分がいたんだ。その意味ではあの歌は現在の彼らと過去の彼らの間で交わされているテレパシーのようなものなのかもしれないね。そして6人がみんな、それをよくわかっている。歌を歌う二人だけではなく、いつも歌いながら踊る彼らにそんな確信を抱いた。

 それにしても、やっぱりこれも天使の悪戯なのかな?出逢いってヤツにはいつも驚かされる。運命っていうのはおおよそ非現実的なものなのかもしれない。だって、まさかその本人にこのボクの言葉を歌ってもらえるなんてユメにも思っていなかったんだ。初めて曲を聴いた時、そこにはドラマのシノプシスがあるだけで彼らは見えていなかったというのが本音だ。見えて来たのは英語バージョンのTD(トラックダウン)が上がって来た時。それにしたってまさか日本語バージョンを出すことになるとは思わなかったし、ましてやいまの状況など想像すらできなかった。

 そんないまの状況を作り出してくれたのは、まぎれもなくメディアとそれを通じて彼らを応援してくれたみんなの心に他ならない。もちろんそれはこのボク自身に向けられたものではない。けれどみんなとおなじ思いを彼に映し出していたボクに奇跡の追い風と出逢いを与えてくれたのもまたキミたちみんななんだよね。

 話は変わるけど、こういう場所ではあまり話題にのぼらない人がいる。その人はすでにあまりに大きな存在になりすぎて、表にはあまり出てこない人だけれど、ボクら以上に彼らのことを大切に思っている。自分の立場をかけてでも彼らを育て上げようとする見えない情熱がもう一つあるんだ。

 バラードで華々しく舞台に上がった彼ら、ビジネスだけで考えれば目先の結果を追いかけるがゆえに次もバラードでクリスマス商戦に打って出たところだろう。しかしその人はそれをさせなかった。なにゆえそうさせなかったのか?

 彼らの将来を長い目で見た時、彼らのあるべき本当のStyleをすでに見据えていたからなんだろうな、きっと。ボクはそこにプロデュースの在り方を教えられた。常にアーティストの背中を押してやることの出来る場所に立ち続ける忍耐力、おそらくは創ったら後は人の手にゆだねるしかないボクら作家とは比較のしようがないプレッシャーだと思う。2+4ではなく6であることを今伝えなければいつか必ずそれを悔やむ日が来るという確信のようなものを抱いていたに違いない。まだ顔をあわせたことはないけれど、その人に出逢えたこともまたボクにとって大きな出来事だった。いろいろなカタチがあるけれど、誰もがみんな見えない力に支えられているんだね、知らず知らずに。

 もちろんいまのぼくがあるのはそれだけじゃないよ。他にもたくさんの出逢いがあった。今日という日はあくまでも一つの通過点に過ぎないけれど、ここはひとつ強がらないで素直に振り返ってみることにしよう。ぼくの言葉を歌ってくれたすべてのアーティスト、その出逢いをくれたプロデューサー、スタッフ、そのアーティストを応援してくれる仲間達、そしてボクを愛し支えてくれたすべての人達に捧げたい言葉、それはありふれた一言だけれど、どうしても他に思いつかないから・・・

ありがとう

As of 31.DEC.01
Kenn Kato with love



ぼく「おい!」
ボク「ううん…zzz」
ぼく「いいかげん目ぇ覚ませよ。もうまる一日以上寝てるんだぜ。みんなに失礼だろが!」
ボク「だってクスリ変えたら、なんだかCarry overがひどくて、それにシカゴ帰りだし、時差が」
ぼく「(そういやあもうこの頃すでに不眠症がかなり悪化してたんだよな。フライトの時差と〆切りの時差・・・みんながフライト終わって飲んで食って酔っぱらって眠る頃ぼくはネットで届いた音源を聴きながら日本と携帯でやり取りして歌詞を書き、みんながレコーディングやTD終わって家に帰って寝る頃にフライトに出る支度してたもんなぁ。寝られる時間はその隙間のほんの3~4時間。でも気が立って眠れないから心療内科で一番短くてキレのいいクスリを処方してもらってた。ボクもしんどい頃だよな)」
ボク「あと1時間・・・」
ぼく「バカタレ!それはあわないクスリのせいで眠いわけでも何でもない。さっさとシャワーでも浴びてこい。えーい、無理矢理連れてくしかないか」
ボク「ひょえー><、いきなり水じゃ冷たいよー、勘弁してくれよ」
ぼく「これで少しは目が覚めただろう。ほら、コーヒー煎れといてやったよ」
ボク「さんきゅ。いいとこあんじゃん」
ぼく「いや、なにさ。あの頃は大変だったなって、そうさ、思いだしたからさ」
ボク「きみだって昨日新曲書き終わった後ジュンとケンに呼び出されていきなりかけつけ5Shots、しかもイェーガーとグラッパとジャマイカンラムのちゃんぽん飲まされてヘロヘロになってたじゃないか。もう少し寝てた方がいいんじゃねーの?」
ぼく「確かにあいつら容赦ねーからなぁ。で、飲ませた後に「少しは自分の歳を考えなさい」とかいっちゃって、で、自分が先に潰れてぼくが連れて帰る。まあ彼女がいれば別だけど」
ボク「おいおい、それ以上は話すなよ」
ぼく「わかってるって。大事な仲間だもん。お、大分シャキッとしてきたな?」
ボク「あ、なにかい?上の日付入れたのはわけわかんなくなっちゃうからかい?」
ぼく「あの当時で言うと僕がぼくになって、ぼくがボクになっちゃうからわけわかんないだろ?」
ボク「それだけでみんなもう十分わけわかんないよ」
ぼく「それに、当時まだ会ったことなかった彼ともいまじゃ最高の上司?であり友達だもんな。世の中変わったもんだよ」
ボク「Behind the artistってポリシーはそこから来てたんだ?」
ぼく「ああ、まだ当時はTKさんみたいにプロデューサー先行型の制作形態が主流だったからねぇ」
ボク「しかし、出会いってのは本当に運命みたいなもんだよな?テレビの中で観てた相手に歌書いちゃうんだからな」
ぼく「そうさ、その後いろいろあっていま彼らは日本一ビッグになっちゃったけど、いまでも彼はぼくにとっての「運命のヒト」だ」
ボク「もうチャンスはないかもしれないけれど、もしまた彼らがStyleやki・zu・naを歌ってくれるようなことがあったら、すんげー嬉しいけど。でも彼らも進化し続けてるからな。そうもいってられないかも」
ぼく「歌う人が変わっても、そこに歌いたいという気持ちがあればボクはその人に歌ってもらいたいって、そう思ってる」
ボク「ま、もう役目は終わったからさ、後は遠くから見守りながらぼくはぼくの道をいけばいいんだよ」
ぼく「そうだな、いまここで道は分かれても、またどこかで一緒になるかもしれないし、地上の道とおなじように時間の道もみんな繋がってるんだ。どの道を行こうと、たどりつくのはみんなおなじ未来、だろ?」
ボク「そうそう、そのとおり。だからサヨナラと言うだけが別れの言葉じゃない、んだろ?」
ぼく「そうさ、またな!の方がなんか頼もしいだろ?」
ボク「ああ」
ぼく「あ、わりぃ、なんだかちょっと調子悪いみたいだから、おれ、寝るわ」
ボク「おーいおい、人のことたたき起こしておいて自分は寝ちゃうのかよ?」
ぼく「じゃあな、Keep in touch!」
ボク「ああ、徹夜明けなんだからおやすみよ。Keep in touch!・・・でもボクらの場合でもこのコトバは通用するんだろうか?ところでみんな、いまは6人じゃなくて7人なんだって?ボクそんなの全然知らなかったよ。メンバーも入れ替わったって?嘘だろ???」
ぼく「予想してたんじゃないの?予言してるじゃない、よく読めば誰でもそう思うよ」
ボク「とんでもない!たまたまだよ、たまたま。調子悪いんだろ?さっさと寝ろよ」
ぼく「はいはい、オヤスミ」