New Wave 『New Wave~近代化~』

海外からの膨大な
MONEY WAVEが押し寄せて
古き良き時代が
近代化の波に呑み込まれていく瞬間だ


 えーっと、昨日の話はここに来た人だけが知ることのできる内緒の話ね!他にもいろんな要素があって一口じゃ言えない。自分のStyleでいつも書けるわけじゃない、自分のStyleとは違うタッチで書かなきゃならない時もあるからね。職業作家としての立場に徹底すればいかなるオーダーにも対応できないといけないでしょ?それはいくらでも可能なことなんだけど、当然心の中に葛藤が生じるわけで、自分の作風を出さず「誰々風に」とかいわれても書けるようにするためには自分の中に別の存在を持たないとならなかった、っていうのもあるんだよね。

 もっと時間を遡ると「もう一人の自分誕生」の経緯にはこんな事情が在るんだ。大企業に勤めながら音楽活動をしていると、なぜか職場で強い圧力がかかる。ちゃんと仕事しててもあれこれ言われる。元をたどればそういった誹謗中傷から自分を守る目的で音楽活動を隠すためにもう一人の自分をつくり出したのが始まりだった。
 いずれにしても時の流れと共にいろんなことが起こって、それに順応していくために思いついた一つの手段、あのキノボリトカゲの保護色のような処世の術でもあったんだと思う。それが独立した後に生じた環境の変化によってカタチを少しずつ変えていった。その意味では、ぼくがぼくで在り続けるために必要だったもう一人の自分、なのかな?

 でも、そんなもう一人の自分の作品も結構好きです(笑)。女の子のアイドルにKenn Katoだとやっぱりなんとなくしっくり来ないし、性別を曖昧にすることで得られるメリットもあったしね。そういったいくつもの理由が複雑に絡まって形成されたもう一人の自分という存在、それがあの名前です。

 これ、自分的にはかなり重大な告白なんだけどね(汗)、ここで生まれ変わるためにはいったん整理しておかないといけないからお話ししちゃいました。

 生まれ変わるのも大変なことだよね。過去の自分を否定しちゃ絶対に生まれ変われない。かつての自分がいるから生まれ変わった自分がいるんだということ、それだけは間違いないよね。

 いま自分が恋に落ちたとして、その人のことが好きで好きで仕方がなかったのに、その人の過去を聞いた途端その情熱が冷めていったとしたらそれは本物ではない、ってこと。いま目の前にいる相手は過去がなければ存在しなかったんだから、本当に好きならばそのすべてを受け入れることができるはずでしょ?

 そうやって考えると上の写真はぼくの目からみると過去を否定しているかのように見えるんだ。これまでのどの写真とも違って極めて報道に近い写真だけど、まさにものすごいプレッシャーで過去を踏みつぶしているかのように見える。それがしっくり来ないのは、この国にはまだ歴史が残っているってことなんだと思う。もちろん経済特別区域だけにしか見られない現象なんだろうけど、いいのかな?って。

 ぼくの生まれた国はバカでかいし圧倒的な力を持つけど歴史は遥かに浅い。そしてぼくの育った国は目覚ましい復興を遂げたけど歴史は粉砕された。過去の持つ質量が違う特殊なふたつの国、それがぼくの故郷。これもふたつの文格を持つことになった因縁なのかもしれない。

 New Waveなんていえば聞こえはいいけど、Renaissanceはもっと素晴らしい。それができないってことが、なんか哀しい。だからぼくはヨーロッパが大好きなのかもしれない。

 でも、音楽の世界でNew Waveを創り出すことができるのはとても貴重な経験だ。それが経験できただけでもしあわせだと思うけど、みんなをもっとハッピーにするために、もう一度初心に戻った上でのNew Waveを創り出すことが今年の目標なんですわ。

 うまくいくといいなぁ・・・

Kenn