県産材の木の住まい工房のブログ
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神奈川県産材 相州ヒノキについて

今回は神奈川県で取れる良質なヒノキ材についてのお話しです!


■相州とは?

相模国(さがみのくに)の総称です。かつて日本の行政区分のひとつであった国の一つで、現在の神奈川県の北東部を除く大部分を占めていました。


■相州ヒノキ

前回の石田木材さん主催「木材生産現地研修会」で神奈川県にも良質な檜材があることがわかりました。

ヒノキには美しい光沢や特有の芳香、防虫効果、高耐久性を有しています。


ヒノキは山の斜面でよく育つ材なので、木の腹や背といった性質を読み取る必要があります。木の方向性を間違って使用してはいけませんがこれらを充分読める職人さんが減っていることも事実です。

いい家づくりはまさに、木の素性を知り、木を読むことができる製材職人や大工さんによって支えられているのです。

鎌倉にも昔ながらの手刻み加工が出来る腕のいい職人さんたちがいます。我々はこういった職人さんたちとも連携を強めていこうと考えています。


■木の性質を知ろう!


①木の乾燥について

木が生成するときは多量の水分を必要としています。

水分は流動している遊離水と細胞組織と結びついている結合水から成り、結合水が抜けてくると木の収縮が始まります。

木の収縮は繊維方向(板目)、放射方向(柾目)、繊維方向(小口)の収縮率は、

20:10:1の割合といわれています。

板材の場合は樹皮側の縮みが芯側より大きいので次第に反ってきます。


伐採直後の木の初期含水率は、

          辺材         芯材

スギ    150~300%    50~200%

ヒノキ   150~200%    40~45%      (引用)


この段階ではとても含水率が高いため、すぐに加工組み立てというわけにはいきません。

木は乾燥させると強くなる性質があります。


②乾燥の種類


天然乾燥

製材した木材を桟積みやベタ積みといった積み方で屋外に平置きします。太陽や風により木を徐々に乾燥させていきます。雨が降っても表面しか濡れず、奥まで浸透しないので問題はありません。

木に与えるストレスが少ない方法ですが充分な乾燥期間(3~4カ月)を要します。

また、時間の経過とともに材質が向上し色つやが現れるので、積み直して風通しを調整してゆっくり乾燥させます。良質な木材を生む最も適した方法です。


人工乾燥

製材した木材を乾燥庫に入れ、強制的に乾燥させる方法です。期間が少なくてすみます。

樹種や用途により乾燥方法が異なります。構造材として安価な値段で取り引きされる杉材の多くはこの方法で乾燥させています。


木は含水率30%までは変形が大きくなりますが、それ以下になると変形量は落ち着いていきます。

含水率25%くらいで加工され家として組み立てられます。

上棟してから屋根、壁の工事が進行するにつれ、より乾燥が進みより好ましい乾燥状態へと落ち着いてゆきます。


この続きはまた次回!

    

木材生産現地研修会 第2回

5月16日


石田木材さん http://www.ishimoku.com/  が主催する第2回「木材生産現地研修会」を見学してきました。



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石田木材さんの製材所で2本の原木丸太を製材する様子を見学させていただきました。

今回用意していただいたのは上の丸太は箱根のものと東京高尾のもので樹齢90年ほどのものです。

産地により赤みや光沢、芳香にも違いがあり、また節の量なども違ってきます。これはどれだけ充分な管理をされているかにもよるところです。

檜は杉よりも強度、耐久性が高いため、檜は杉と同じ太さに成長するにはさらに10年掛かります。



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製材された梁材、板材の様子。木の油であるほんのりした赤味は耐久性のある木材であることを示します。

死節などもほとんどなく、良質な木材であることがわかります。


前回レポートでお伝えしたように、森林所有者から委託された林業家たちは、地ごしらえから植林、そして下刈り、枝打ち、間伐など良質な木材育成のための管理を経て、伐採・搬出して原木市場に収めます。


市場に出揃った原木丸太は、木の特性を知り尽くしている製材所の職人の目利きにより、丸太の中に隠された木の品質を読み取り、必要な材を競り落とします。


建築木材は使用部位ごとにそれぞれの使い方があり、大きい木から小さい木まで3~4種類の原木から製材し製品化します。主に、正角(柱材)、平角(梁材)、板(板材)、そして内法材を製材します。

丸太のそれぞれの特徴から、材の使用用途別に丸太を見極める職人の熟練した技術があって、良い木材を仕入れることが出来るのです。


最近では木を読める職人さんたちが減ってしまいました。世界的には人工増加に伴って木材需要が増えていますが、日本の国産材自給率はどんどん減っています。

昭和30年代頃に比べて現在の木材自給率はその20%にまで落ち込んでいます。

現在国内の外材使用率は80%。国産材使用率はわずか20%にしかすぎません。また外材はその土地になじみのない木が使われます。

日本の製造業の中でも林業者の所得水準はとりわけ低く、多くの中小企業が倒産に追い込まれているのは周知の事実です。


昔からの日本の家づくりは、その土地の気候風土に最も適した地元の木を使ってきました。

木の性質を熟知し、腐らないようにする工夫や、狂いの出ないように木を方向を読むことなど、伝統的な木の技術体系に則って家づくりがされてきました。


石田木材さんは目利きの利く熟練した製材職人さんたちを擁しており、とてもガンバっているのです。




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杉や檜は斜面に対して真っ直ぐ鉛直に伸びますが、根元付近では谷側に向かっているため、通常は少し弓なりに曲がります。

谷側を「背」といい、とくに外側はあて(反木)ともいわれます。

目が強いが木の繊維が不均質で建材としては不向きな個所です。いわゆる使える「あて」のない個所ですが、その木目を利用しておもしろいものもできます。

山側を「腹」といいます。木目が均質できれいな個所です。

部位ごとに性質が異なりますので、それぞれの特徴を活かすため、その方向性を考えて使用することが重要です。


この続きは次回。。。。


木材生産現地研修会 第1回

4月24日。


相模湖周辺の山々から津久井湖にかけ、森の樹木が若葉色に芽吹き、素晴らしい新緑の光景を観ることができました。



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山がどのような状況にあるのかを見て、現状の状態を観察するため、林業家佐藤氏((有)サトウ草木代表)の案内で津久井の山に入りました。


カエデ、クヌギ、コナラ、ドングリ、ホウノ木等、新緑に萌える広葉樹の自然林を眺めながら、さらに進むとそれまでとは明確に区分された、管理の行き届いたたきれいな人工の針葉樹林に辿り着きました。


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山の管理は木材の品質に大きく影響します。丹念に間伐や下草刈りなどの手間をかけます。3年掛かりで急峻な地形を、間伐した杉や檜を棚田状に横に並べて土の流出を防ぎながら人工林を育ててきました。


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さらに山の奥に進むと清流が湧き出ていています。

ここは水源協定林。湧水は津久井湖や相模湖へと集結し神奈川の貴重な水資源となります。


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素材生産材としては50年以上必要とされますが、この場所の杉は40年物の杉です。あと10年以上で利用出来ます。

100平方メートルごとに25%の間伐をし森を管理しています。


神奈川の貴重な水資源を守るため森林保全に活躍している(有)サトウ草木 さん。


社員一同頑張っている姿を拝見してきました!



レポーター:山田泰照

案内人  :(有)サトウ草木 代表 佐藤好延

主催    :石田木材(株) 石田大介