#シラスフロントロー

第31回 近内悠太『利他・ケア・傷の倫理学 「私」を生き直すための哲学』

最優秀批評家賞 cobaprika

平均点 73点(最低点55点、最高点90点)

批評コンセンサス

現代における重要な問題を、著者がわかりやすくやさしい文体で展開した良書。ヴィトゲンシュタインや宇沢弘文など、引用されている原典を読みたくなるすぐれた読書ノートともなっている。利他やケアの行為におけるすれ違いを、言語ゲーム論に寄せて議論する構成は秀逸。漫画や映画、Jポップからの引用も読者にとってほどよい抽象性と具体性の諧調を提供している。本書は気鋭の論客による「J哲学」の傑作であり、また、著者のやさしさが発揮された「ロマンティック・フィロソフィー」の良書ともなっている。三部作の構想が表明されており、第三作が今から楽しみである。

 

議論の詳細(番組アーカイブ)

https://shirasu.io/t/kenmogi/c/kenmogi/p/20240323083445