#シラスフロントロー

第29回 浅田彰『構造と力』

最優秀批評家賞 manab0rg

平均点83点(最低70点、最高95点)

批評コンセンサス

 刊行から40年を経て、古典の仲間入りをした。文庫は「プリテンディッドウォークマン」であり、装丁や触感も良い。千葉雅也さんによる解説も読み応えがある。大学のあり方をめぐる導入から、ハードな哲学論への切り替えが鮮やか。受験戦争を逆手にとった知への誘い。ポストモダン思想の地図としてコース料理を味わうような知的喜びがある。浅田彰さんの文体には、ファッショナブルナンセンスを自覚的に算出する道化と芸術とユーモアのセンスがある。まるで身体化されたnext token predictionのようで、人工知能の議論に与える示唆も深い。ここから、東浩紀さんの著作につながる哲学、思想の系列が始まる起点となる。ピアノを上手に弾きこなし、『テルケル』(Tel Quel)を軽々と読みこなす天才による知のハイテーブルカルチャー。「ゲンロン4」の浅田彰さんと東浩紀さんの対談も必読。

 

議論の詳細(番組アーカイブ)

 

https://shirasu.io/t/kenmogi/c/kenmogi/p/20240305102728