今回のエジプト滞在は到着後、ラマダンが始まってたいへん興味深かった。

 街のあちらこちらに、ラマダンの独特の飾りがあって、それが、胸をときめかせるような祝祭性を帯びていた。

 昼間の間、特別な事情がない限り、水も飲めないというのは大変だが、日没後、断食が開けるとみなさん家族や仲間と食事を楽しみにされているようだ。

 滞在しているうちに、ラマダンは昼間の苦しい断食とともに、日没後の楽しみな会食という、苦と楽のコントラストにその本質があるのだとわかってきた。

 そう思うと、あちらこちらで見かけるラマダンの飾りが、まるでクリスマスの装飾のようにすら見えてくるのだった。