東京という都市は十分に大きくて、エリアによって違った表情がある。昨日は文藝春秋の新谷学さんとの対談、そしてその後に御茶ノ水から神保町にかけてのエリアで過ごして、改めて独特の雰囲気があると思った。

 

御茶ノ水から神保町にかけては多くの大学があり、古本屋街があり、大手出版社がある。そのような街の性格から、集まる人も違ってくるし、行き交う会話も異なってくる。

 

学生の頃、本郷キャンパスから歩いてよく神保町や御茶ノ水を歩いたものだ。地図などを見ないで「自動運転」できるエリアの一つ。昔あった「いもや」で、カウンターに座って注文すると、おやじさんが無言で天ぷらをあげてくれるあの時間もありありと思い出すことができる。

 

明治大学の建物が今のように新しくなる前、古い建物の前を通るとよく学生たちがトランペットを吹いていたなあと思い出す。街の記憶は自分の人生の地層をなしている。今でも、神保町から御茶ノ水のあたりを歩くと、ベルクソンの純粋記憶が蘇生するような気がする。

 

追記。あの頃は、学ランを着ている学生もそれなりの数いたような気がするなあ。