合同批評会 #シラスフロントロー

 

第8回 展覧会 横尾忠則 @tadanoriyokoo 『寒山百得』 平均78点(最低点0点、最高点100点)

 

批評コンセンサス

 

 中国のユニークな僧侶の伝説に取材した100号、100点の連作は若々しさと生命のエネルギーにあふれている。ナンセンスさと躍動感は今の時代に貴重である。横尾忠則の代表作であるY字路シリーズが「多世界」だとすれば、『寒山百得』はマルチバースだと言える。時には一日に二作描く製作態度は、生成AIの隆盛する今に対する批評性ともとらえられる。寒山拾得的なモチーフが日常に遍在していることを、トイレットペーパーやほうきといったモチーフとともに示して世界の見え方を変える。

 

イラストレーターから画家、そしてアーティストへ。横尾忠則が生きて、「動態保存」されていて、このような自画像そして脳内日記を描き続けることの奇跡。生きているだけで尊い。会場に来ていた観客は素敵な雰囲気だった。文化庁の支援を受け、国立博物館で展覧会が開催されるという権威付けも横尾の前では無効化される。

 

2025年の大阪万博に関連して、常に参照される岡本太郎の精神が今にあるとすれば、それは横尾忠則だろう。関連グッズが秀逸で、横尾の作品を貫くファインアートとデザイン、イラストの往還を連想させた。

 

議論の詳細

 

https://shirasu.io/t/kenmogi/c/kenmogi/p/20231109061716

 

ロッテントマトのような、忖度のない批評を目指す #シラスフロントロー、ここまでの歴代の点数は次のとおりです。

 

第1回 映画 Super Mario Bros. Movie 71点

第2回 映画 福田村事件 77点

第3回 書籍 続 窓際のトットちゃん 66点

第4回 番組 松本人志と世界LOVEジャーナル 28点

第5回 書籍 今井 むつみ、秋田 喜美 『言語の本質』76点

第6回 映画 山崎貴『ゴジラ-1.0』66点

第7回 書籍 東浩紀『訂正可能性の哲学』86点

第8回 展覧会 横尾忠則『寒山百得』 78点