日本進化学会で沖縄に来ている。バスケットのワールドカップを見るために沖縄市のコザに入った。夕方、ごはんを食べようと入ったカフェで、今日は旧盆の最終日だから、いろいろなところでエイサーをやっていると教えていただいた。

 

歌い、太鼓をたたきながら進むエイサーは知っていたけれども、旧盆の最終日に、戻ってこられたご先祖様の霊をお送りするために行われるということは知らなかった。カフェを出て、FIBAワールドカップの会場である沖縄アリーナに歩いていたら、太鼓や歌がかすかに聞こえてきた。

 

ちょうど、公民館のようなところから、エイサーが出発するところだった。午後7時過ぎ。リーダーが、「これから5時間」と言っていた。日付が変わるまで踊り続けるらしい。暗がりに人が集まっている。ぼくも立って、エイサーの方々がくるくると回りながら踊るのを見た。

 

亡くなった方々は、生きている人たちがその人たちのことを覚えて思い出している限り、この地上にゆかりを持っている。旧盆でご先祖さまの霊が来て、それを想う生きている人たちが踊ることによって、往時のなにかが蘇り、そして生きている今が言祝がれるのだろう。

 

FIBAワールドカップの試合が終わって、ふたたびコザの街を歩いた。夜空の月に雲がかかっている。エイサーの音が、かすかに聞こえてきた方向に歩いていくと、次第に音が大きくなってきた。もう23時近い。太鼓も踊りの人も、まだまだ元気で動いている。

 

生きているってすごいなあと改めて思った。沖縄、コザの街で旧盆の最後の日にエイサーに出会うなんて、羽田から飛行機に乗るときには思わなかった。私は今を生きている。今日は琉球大学で進化学会だ。台風が近づいている。万物は流転し、私はここにいる。

 

 

 

 

追記。よそ行きの顔じゃなく、自分たちでつくって自分たちで味わう、そんなほんものの祭りを少しでも拝見できて、ほんとうに幸せでした。ありがとうございました!