昨日、Quite Interestingのツイートで、ジョージ・バーナード・ショーが、仕事をするのに使っていた小屋が「ロンドン」と呼ばれていたという愉快な話を知った。書きものをしていて、誰か訪ねてくると、「ロンドンにいます」と言って追い払っていたという。

 

 

 

ショーに限らず、仕事で小屋を使うというのは一つのスタイルである。作曲家のグスタフ・マーラーも作曲小屋をつかっていて、確か湖のほとりかなにかに、それ専用のスペースがあった。こじんまりとした場所は心が落ち着き、集中することができる。

 

哲学者のルートヴィッヒ・ヴィトゲンシュタインは、その生前に刊行された唯一の著作である「論理哲学論考」(Tractatus Logico-Philosophicus)を北欧の小屋で書いた。その跡が残っていて、若者が訪ねる動画がユーチューブにあったと思う。

 

集中して仕事をするのに、大きなぜいたくな空間は要らなくて、むしろシンプルで小さな空間が良い。そこに引きこもって、自分だけの時間を刻むことは、最高の心のエキササイズだと言うことができるだろう。とりわけ、現代のように情報空間が広がってしまった状況ではそうだ。

 

創造するには、洞窟のようなひんやりとした、世間から隔絶した空間が必要である。そこに立てこもって、自分の内側の井戸に降りていけばいい。ヴァージニア・ウルフは「自分だけの部屋」という名エッセイを残したが、誰でも「自分だけの部屋」が生命に不可欠な創造のために必要である。

 

今ならば、物理的な小屋じゃなくても、どこでもこもればいい。私は、移動中の電車の中でも、ホームの片隅でも、公園のベンチでも、カフェの席でも、いつでもどこでも自分だけの部屋をつくっている。もちろん、小屋があればさらに良い。