ツイッターが「X」になったというので、英語でも日本語でもTLがたいへんな騒ぎである。Elon Musk氏は、もともと、何をやらかすかわからないというVingean Uncertaintyの人だから、ぼくはその範囲内だと思って静観している。

 

Vingean uncertaintyは、ヒューゴ賞を受けているSF作家、Vernor Vingeに由来する概念で、高度な知性をもつエージェントの振る舞いは予想が難しいことを指す。イーロン・マスク氏の過去のやらかしの数々は、この概念の中で把握するのが第一仮説としては良いと思っている。

 

イーロン・マスク氏がtwitterをXにしたことについて、英語圏のツイートを見ていると、ツイッター終了だとか、マストドンやブルースカイ、スレッズに移行だとか、マスク氏は自己顕示欲で好き勝手やっているとかいろいろ言うけれども、マスク氏が何を意図しているのかもう少し観察しないとわからない。

 

高度な知性を持ったエージェントの振る舞いが予測不能だというのは、特に短期においてはそうで、中長期で見ると「伏線の回収」が行われて、辻褄が合うこともある。だから、今回のツイッターからXへの変更も、後に、ああ、そういうことだったのかとわかるかもしれない。

 

もちろん、イーロン・マスク氏が実は考えが足りなくて、ツイッター買収以降、愚策を重ねているという可能性も否定できない。しかし、現時点では、私は、マスク氏の短期的には予測困難な振る舞いが、中長期的には伏線が回収されて辻褄が合うという仮説をとりたいと思う。