移動の合間にファミレスで仕事をしていたら、近くの席に白髪のシニアな方が入ってきた。

 

メガネをかけて、真面目な雰囲気だ。

 

洋食系のメニューを頼んでいるのが聞こえてきたけれども、続いて「味噌汁」も注文している。

 

それから、店員の女性に対して詳しく説明され始めた。

 

「私が味噌汁を頼むのは、前菜のスープとかそういう意味ではありません。あくまでも、食事の時に、いっしょにいただくものとして味噌汁を頼むのです。ですから、食事といっしょにもってきていただきたい。わかっていただけますでしょうか?」

 

まるで芝居のセリフを読み上げているように大声で店内に響きわたった。

 

店員さんの当惑が空気の振動になって私のところにまで伝わってくる気がした。

 

それから、私は手元のパワーポイントづくりとか、ズームでの会議などに没頭して、おそらく1時間以上、そのシニアの味噌汁おじさまの方を見なかった。

 

仕事が一段落して、ふとおじさまの方を見ると、おじさまはテーブルの上に書類を広げて、なにかの作業に没頭していた。手元にはグラスに入った水だけで、コーヒーも何もなかった。

 

そういえば、さっき注文をする時に、味噌汁は頼んでいたけれども、「ドリンクバー」は頼んでいなかったような気がした。

 

(クオリア日記)