映画「バービー」がとても楽しみだ。「バービー人形」の世界観を背景にした実写映画だけれども、なにしろ監督がGreta Gerwigなので、間違いなく現代的で、洗練されて、芸術的にもど真ん中な仕上がりをぶちこんでくるに決まっている。公開が待たれる!

 

 

 

Greta Gerwigは、いろいろな素晴らしい仕事をしているけれども、ぼくがノックアウトされたのは「レディ・バード」の仕事で、自分という存在が揺れ動き、模索していく思春期の手触りを見事に描いていた。配給会社のA24の大ファンになったきっかけの作品でもある。

 

「レディ・バード」のGreta Gerwigが撮るということで、『バービー』は、すべてピンクのバービー的世界観を踏襲しつつ、ジェンダーや個性などについて現代的な批評性も持つ作品になることが期待できる。すでに公開されている予告編やクリップからもそれはうかがえる。

 

公開されている予告編では、バービーが自分がいつの間にかハイヒールを履いていなくて、平らな足になっていることに驚愕する。それで、現実世界? に移動するときに、ハイヒールを選ぶか、フラットなサンダルを選ぶかという選択を迫られる。このあたりですでにぶちこんできている(笑)。

 

断片的な情報しかないんだけど、どうも、「ケン」もさまざまなエスニシティで複数いるらしく、また、『バービー』の世界では、地上では男性がやっていると思われている仕事を女性たちがやっているらしい。そういう細かい設定がおそらくとても現代的になっているんだと思う。

 

肝心なことは、現代的な批評性や設定が、ピンクでかわいいバービーの世界というヴィジュアルを活かしつつどのようなバランスでどのように接地するかということ。脚本はGreta Gerwigと、パートナーのNoah Baumbachなので、そのあたりも大いに期待したい。

 

キャスティングだけれども、バービーがMargot Robbieで、ケンが(ラランドに出ていた)Ryan Goslingで、その個性がどう生きてくるのかも楽しみである。今年の夏は、おそらく重量級の『オッペンハイマー』と並んで、ポップに現代を描く(であろう)『バービー』が必見の映画である。

 

一つ書き忘れていたけれども、ビリー・アイリッシュが楽曲を提供しているみたいで、そのことも映画『バービー』でとても楽しみなことの一つである。