私自身も一部かかわらせていた本です。
『官僚崩壊 どう立て直すのか』(寺脇研、前川喜平著)扶桑社
官僚の世界、霞が関のあり方についていろいろな意見が飛び交う今、二人の「テクノクラート」による貴重な洞察、証言にあふれた本です。
政治主導といった掛け声が、どのように実体化し、何よりも現場で働く官僚たちという「生身の人間」の生き方に影響を及ぼしていくのか、そのリアルな感触が伝わってきます。
「公」のあり方がすっかり変質してしまったというのが寺脇さん、前川さんお二人の共通認識。
そして、個々の政治家の思惑やふるまいを超えて、その背後にあって時代の中で暴れ続けているモンスターが、「新自由主義」というイデオロギー、ないしはその幻想でしょう。
霞が関について何を言うにせよ、政と官の関係についてどのような見解を持つにせよ、そこで実際に起こっていることのメカニズムをリアルに把握してからでなければ、見誤ってしまう。
長く霞が関に身をおき人生をかけてきたお二人による、いわば「元手」のかかった、身体の重みを感じる貴重な証言、洞察は読み応えがあり、多くのことを学ぶことができました。
日本の未来、「公」の再構築に関心がある方すべてにとっての必読書だと思います。