ここで書こうかどうか、迷ったのだけれども、官邸や総務省、文部科学省、経済産業省のあたりから聞こえてきている動きについて記そうと思う。


 このところの国際情勢を見ていると、日本の知力、行動力が低下していて、もはや発展途上国なみだということは憂慮されることである。


 このような状況を生み出した上で、メディアのレベルが低いということが大きな問題だということを、ついに、官邸としても認めざるを得なくなったようである。


 そこで、思い切ったメディア改革を進める決断をするに至ったようだ。


 以下では、地上波テレビについて記す。


 まずは、NHKがつくる、民放のバラエティのような番組は、全体の20%以下に抑えることとするらしい。


 吉本興業やジャニーズ事務所などのタレントがMCなどで出てくる番組は、週に5本までに制限するらしい。


 また、自然番組は、ディレクターが書いた台本をタレントとかアナウンサーがナレーションするのではなく、国際標準である、研究者や本当に自然のことをよくわかっている人(アッテンボローのような人)が、自らコメントを書き、話す、written and presented byのフォーマットを義務付けるとのこと。


 ヒゲじいなどの余計なキャラクターも「引退」の方向ということである。


 また、これも言いにくいことではあるのだけれども、これまで、平均値、あるいはそれ以下の知的レベルの視聴者を想定してつくっていたゆるい番組の少なくとも30%以上を、全人口の上位10%以上の知的レベルをターゲットにした番組にして、「劇場効果」で全体の底上げを図ることに決断した模様である。


 日曜美術館も、手垢のついた大作家主義、いかにもな美術教養主義と決別して、ターナー賞的な批評性を導入する改革をする模様。


 また、「おかあさんといっしょ」のような子ども向け番組も大きく改変して、「セサミストリート」のような批評性をもたせる方向で検討していると言う。


 朝7時や夜7時のニュースで、国内ニュースに比べて冷遇されていた外信部の国際ニュースを大幅に増強、記者たちが徹底解説することで、国民のリテラシー向上を図るとのこと。


 民放については、『ちびまる子ちゃん』、『サザエさん』、『笑点』、『題名のない音楽会』などの一部の優良番組や、ニュース、スポーツ番組をのぞいて、そもそも存在自体が要らないんじゃないかという厳しい意見も聞かれているとのこと。


 しかし、それではあんまりなので、全体的に、大幅な質の向上を図る必要があると判断されているようである。


 具体的には、「ひな壇芸人」、「手をたたいて笑う」、「自分たちの内輪話」を全面禁止すること、経過措置として、これらの民放バラエティの手垢のついた手法を、全放送時間の7%以下に抑える施策が検討されているという。


 また、知的レベルの大幅な向上も求められ、たとえば、「ビザンチン将軍問題」、「リーマン予想」、「グロタンディーク素数」などの言葉について、週に5回は放送中に触れられることが求められているという。


 官邸筋では、このような施策をしても、長年の日本の地上波テレビによって堕落された国民の資質向上が実現できるかどうかあやぶむ声もあるという。

 

 それでも、何もしないでいるよりはマシだ、という声が強まっているとのことである。


 ゆでガエルのまま、日本が没落するくらいならば、メディアの既得権益をぶっこわした方がましだ、とのコンセンサスができつつある。


 情報環境の進化とともに平均IQが向上する「フリン効果」に対して、日本では、ひな壇芸人が内輪話をして手を叩いて笑うごとに、一拍手あたり0.0034程度平均IQが低下する「地上波テレビ効果」が指摘されていて、長年にわたる蓄積を考えると大変な事態となり、このトレンドを少しでも逆転させたいとのことである。


 また、目玉の施策として、紅白歌合戦の司会などに、「みんなに愛される」といった毒にも薬ににもならない司会者を起用するのをやめて、国際的コメディアンが出場者の本質をずばずばいじる「地獄の司会者」を登用することも検討されている。


 選挙の投票が終わってなんの影響もなくなったあとにやってもはや意味がないとされている「池上無双」を、投票前の選挙期間中に前倒しでやることも重要。


 また、人工知能時代に無駄な知識を競い合い、子どもたちに間違った学力観を垂れ流ししている「東大王」クイズ番組を解体して、答えるのに一生かかるような深遠な問いについて出演者がともに考えるオープンエンドな新番組、「人類王」を政府提供で開始することも検討しているという。


 筆者としては、これらの官邸からの動きが、日本のこれ以上の知力の低下、国力の低下の防止につながることを、心から願ってやまない。


 明治維新ができた日本人にメディア改革ができないはずがないと思う。


(クオリア日記)