慰安婦の方々の問題を論じていろいろな議論が起こっているハーバード大学のラムザイヤー教授の論文


Ramseyer, J. M. (2021). Contracting for sex in the Pacific War. International Review of Law and Economics, 65, 105971.


だけれども、言われている歴史的事実の認識の問題はもちろんだけれども、そもそも方法論の脆弱性があるように思う。


英文ブログでも論じたけれども、


https://qualiajournal.blogspot.com/2021/03/a-critique-of-ramseyer-paper.html


 この問題を、ゲーム理論で解析しようとするのがそもそも無理がある。歴史の一時代に起こった不幸なことを、経済合理性や効用関数で論じること自体が事象のごく一部分でしかないし、そもそも本質と関係ないという批判を免れないだろう。


 しかも、ゲーム理論で解析するならば前提から直ちに予想されないノントリヴィアルな帰結があって初めて意味があるが、ラムザイヤー教授は単に簡素な記述を与えるだけであって、ゲーム理論の名に値しない。


(クオリア日記)