今日の「もぎけんのデイリーショー」の「ディミートリ」でも取り上げたけど、横綱審議委員会の今回の「注意」はどうなのかな、と思う。


 横綱審議委員会の先生方のご苦労はわかる。好角家で、社会的な地位もある立派な方々。その方々が、大所高所から、相撲のあり方についていろいろ言う役回りということはわかる。


 仮に、横綱の責務を果たしていない方がいらしたとして、いわば「猫の首に鈴をつける」役回りは誰かがやらなくてはならないのだろうから、それをやる横審はご苦労だとは思う。それにしても、いろいろ今の時代まずいなあ、と感じることはある。


 いちばんまずいと思うのは、横審の出すメッセージが精神論、印象論に偏っていることである。白鵬、鶴竜がサボっているから「注意」ということなのかもしれないけど、ほんとうにサボっているのかどうかはわからない。そもそも、どのような怪我なのか、医療的なデータを参照しないで、どうして判断が下せるのだろうか。


 横審にスポーツ医学などの専門家がいれば理想的だけれども、そうでないにせよ、なにか勧告などをする場合には、エビデンスに基づいて、ああ、これくらいの怪我だから、こうなのだとか、そういうことをしないと、今の時代成立しないと思う。横審が印象論や精神論であれこれと言うのは、コンプライアンス的にも極めてまずいと思う。


 さらにまずいのが、外国出身の力士に対する差別、偏見ととられかねないことで、今回の白鵬、鶴竜の両横綱に対する「注意」を、稀勢の里に対する温情と比較するとその感を強くする。


 たとえ、横審としてはそんなことはないという認識だとしても、結果として外国人差別に見える。これは、今はコロナで一段落しているとはいえ、外国の方々からも熱い支持を受けている大相撲としては、かなりまずいのではないかと思う。


 そもそも横審の先生方は自分たちは相撲をとったことがないわけで、大相撲の力士がいかにぎりぎりのところでがんばっているか、そのリスペクトがあってこその横審でなければならないと思う。


 リスペクトがなく、「注意」とか言っていると、単なるエラソーなおっさんたちに見えてしまう。


 それで横審がいいとは、ぼくは思えない。


 最初に書いたように、ほんとうに大変なお仕事だとは思う。だからこそ、医学的なエビデンスに基づき、外国人差別に見えないように、慎重にも慎重なメッセージを出していただきたい。外国の方、女性の方を含め、横審の構成も時代に合わせてもっと多様にしなくてはいけないのではないか。正直、今回の横綱審議委員会の「注意」には「物言い」である。


(クオリア日記)