昨日、朝走ろうと思って始めたら、どうも胸のあたりが痛い。


 やばい、心臓だったらどうしようと思ったけれども、どうもそうでもないようだ。


 心臓というよりも、胸の真ん中あたりが、肋骨的に痛い(笑)。


 もちろん、心臓の病気というのは痛みの部位を別のところに感じることもあるというから油断はできないけれども、どうもそうでない気がする。


 しばらくゆっくり歩いて調整しながら、おかしいなあ、胸のあたりの肋骨みたいなところが痛くなるようなこと、最近、あったっけ、へんな寝方したのかなあと考えていて、はっと思い出した。


 その前日、大阪から帰ってきてある会合に行った。そこにある方がいらして(以下Dさんとしましょう)、そのDさんが、「茂木さんのDNAを書き換える」とおっしゃったのである。


 それで、Dさんは、まず、ぼくに「両手を上げてください」と言った。一生懸命あげたら、「耳についていないでしょう」と言う。


 次に、「手を前につけますか」というから、立ったまま前屈したけど、ぼくは体が硬いからつかない。


 そしたら、Dさんが、「これからDNAを書き換えます!」と言われて、両手を胸の前でふわふわさせて、気合を入れるようなことをした。


 「書き換わりました」と言って、「両手を上げてください」というから、上げたら、「さっきよりも耳についている!」と言われる・


 それから、「手を前につけてください」というから、Dさんが一生懸命やってくださったから、悪いと思って、ぼくも一生懸命勢いをつけて前に手を落としたら、Dさんがすかさず「さっきよりもついているでしょう!」という。


 そう言われれば、そういう気もした。


 それから、Dさんは、近くにいた青年に、「首が肩の上にのっていない!」とおっしゃって、「しばらく歩いていてください」と言って、その間、両手を胸の前でふわふわさせる仕草をして、青年が戻ってきたら「ほら、首がのったよ、これで君も女性にモテるようになる!」とおっしゃった。さらに、近くにいた髪の毛の薄い男性に、「ぼくがDNAを書き換えれば生えてきます!」とおっしゃった。


 えっ、ほんとうかな、Dさんが両手を胸の前でふわふわすると、ぼくのとなりにいる紳士の髪の毛がみるみるふさふさするのかな、とわくわくしたけれど、残念ながら、Dさんはそこでセッションをやめてしまわれた。


 (ぼくは、こういう時に、科学的にどうのこうのというコメントはその場では一切言わずに、とにかくその方のおっしゃることを拝聴することにしている。それに、Dさんが両手を胸の前でふわふわさせる前にやった「リーディング」のようなものでぼくについておっしゃったことは、表現力や言葉の勢いも申し分なく、その根拠はともかく心に残った。Dさんはいい方だった。)


 そういう愉快なことがあったんだけど、昨日ランニングしていて、胸が痛くなったとき、どうしてだろうと考えて、それから「あっ!」と思い出して、「あの時、勢いをつけて、無理して前に屈伸して手をつけようとしたから、翌日になって胸が痛くなったんだ!」と気づいた。


 それで、「あ~」と腑に落ちて、アハ体験となった。


 「胸の痛いアハ体験」だった。


 教訓。胸の前両手ふわふわでたとえDNAが書き換わったとしても、柔軟運動は無理をしない方がいいですね。


追記。今朝は胸の痛みもなにもなく普通にランニングしました!


(クオリア日記)