しばらく前に、中国の「三体」というSFを読んだ。
これは英語に翻訳されたものがヒューゴ賞をとっている。
ぼく自身も英訳で読んだけれども、日本語訳の方が人名とかはわかりやすいかもしれない。
ネタバレにならないように抽象化して書くけれども、まずハードSFとしてとてもよくできている。
また、中国という国、文化が主役として全面的に出てくることにもなんとも言えない時代の流れを感じた。
「三体」というのが「三体問題」から来ているということくらいはみんな推定できると思うのでそれは書くけれども、その先の、核心となるアイデアは読んでのお楽しみ。
物理を知っているものにとっては、それは明らかに空想だろう、という鍵があるのだけれども、それも、バランスを崩さない程度に抑えられている。
傑作と言ってよいだろう。
第二部、第三部があって三部作ということで、機会があったら読んでみたい。
第一部の英訳はとてもよくできていた。
スケールの大きさとしては、アーサーCクラークの『幼年期の終わり』を思い出させるのだけれども、それにしても思い出されるのがヴォネガットの『タイタンの妖女』で、(これも英語で読んだ)、『三体』も『幼年期の終わり』も傑作だけれども読み味が「SF」のクオリアなのだが、『タイタンの妖女』はジョイスやウルフにつながるような文学的なクオリアがあるのである。
(クオリア日記)