1332回


お猿さん


茂木先生、こんにちは。

ずっと気になってきた質問をさせて頂きたいのですが、茂木先生がおっしゃる【個性】とはなんでしょうか。
【個性】という言葉は外国語の翻訳から生み出された日本語のようで、辞書を引いても曖昧で納得ができませんでした。
というのも、私は最近【個性】を間違えて定義していた事を知りました。まだ25歳で、どうも子供っぽさが抜けないのか【個性】を"人に負けない/人より上手にできること" だと思っている節があります。特に"社会や大人への反抗"のように捉えていた時もあり、尊敬できない人に上から命令されると、我を忘れるほど憤慨します。
それでも大人のふりをして社会人をしていて、人や会社との折り合いに悩んでいた時、とある人に「ある社会の枠組みを逸脱せずに、作品の中に自分を表現できるのが個性ではないか」と言われました。確かに「この人、上手いなぁ~」と思うことがあります。
では、社会の枠組みから逸脱した作品は【個性】が無いことになってしまうのでしょうか。社会の枠組みは誰が決めたのでしょうか。社会の枠組みに完璧にハマることを個性とは言えないのでしょうか。個性と特徴は違うのでしょうか。個性に短所は含まれないのでしょうか。
考えれば考えるほど、訳が分からなくなってしまいました。
本を読んでも納得できる答えには辿り着けませんでした。次はCiNiiの検索で引っかかった論文を読んでみましたが、ネット開示されている分しか読めないせいなのか、読んだ分では納得できず(読んだのは義務教育の道徳における個性について研究した物など)。
最後は人に聞いてみました。みんな言ってる事が違って、余計に訳が分からなくなりました。
最終的に私の出した答えは『好きか、嫌いかを個人の責任で発言する事』が個性なのかなと思いました。
もしお時間があれば、茂木先生の考える【個性】の答えを教えていただけませんか。
もうかれこれ一ヶ月悩んでいます。


ご回答。


研究者コミュニティは、基本的に英語ベースで考えているので、「個性」にあたる英語はpersonalityということになります。personalityは、因子分析でbig fiveということになります。


CiNiiもいいですが、論文検索でしたらgoogle scholarで検索されるのがいいです。たいていの論文はpdfを落とせます。


その上で、個性は社会的な文脈で受容されるかどうかということよりも、脳の計算リソースの配分の個人的な差異ととらえるのがいちばんよいと思います。


お猿さんはとても良い問題意識を持たれていると思いますので、そこに、因子分析や計算論といった概念をさらに付け加えられると、「個性」のとらえ方がより普遍的になると思います!

nounandemo
 
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