たまたま今仕事で読んでいる本の中にベネツィアが出てきたので、思い出した。


 ケンブリッジに留学しているとき、フランス人のオリビエと知り合って、仲良くなってよくご飯をたべていたけれども、彼はベネツィアのカーニバルがいいといつも言っていた。


 オリビエは劇作家のベン・ジョンソンの研究者で、カーニバルの時になるとみんなが仮面をして街中を歩き回って劇的な空間になるのだと言った。


 オリビエの言葉には愛があった。


 それで、いつか行ってみたいなあと思っていたら、しょっちゅうイタリアとかに行っているせいちゃんとはっしーが、ベネツィアのカーニバルは最悪だ、あれほどよくないものはないと言ったのでわからなくなった。


 ぼくはどっちとも決めたわけじゃなくて、ただ、人によって印象って随分違うんだなあと宙ぶらりんにしているだけである。


 時代によって変わってきたのかもしれないが。


 なんとはなしに現代というものから距離をおきたい気分になっている夕べにそんなことを思い出した。


(クオリア日記)