ランニングしていたら、「おおい、今、どこにいると思う?」という大きな声がした。


ぼくの近くで補助輪つきの自転車に乗っていた女の子が見上げている。


そうしたら、公園にある、案外高い木、そう5メートルくらいの高さのある木の梢のところから男の子が上半身を出して笑っている。


ちょっとびっくりしたけれども、その木、もこもこしていて、枝がたくさんあって、確かに登りやすそうだ。


近くで、その男の子のお母さんが見上げてわらっている。


女の子は妹だろう。


男の子は、きっとその木登りが初めてで、達成感で、妹にいばりたくなったのだろう。


「わははははは」


男の子がわらった。


雲がちょっと混じった青空に、元気な声が消えていく。


女の子も、勢いよく自転車をこぎはじめた。


(クオリア日記)