映画『さよならテレビ』は、タイトルから観るとテレビ批判なのかと思うけれども、実際にはテレビ番組の制作の現場の空気感をリアルに伝えるドキュメンタリー映画であった。

  

 もっとも、一筋縄ではいかない仕掛けもたくさんあって、その詳細はネタバレになるので書けない。実際に見るしかない。


 舞台になるのは、東海テレビの報道部で、ニュース番組制作をめぐる人間模様が描かれる。

 

 テレビの制作現場は、一人ひとりはまじめに働いているけれども、構造上のこと、慣習上のこと、そして視聴率がネックになって自由が失われている。


 そのことは、今回の舞台になった東海テレビも、NHKも、他のキー局もまったく変わらない。


 ひとつのイデオロギーでメディアを斬るようなタイプの作品ではなく、むしろ、テレビの制作現場で働く一人ひとりの生身の人間の息づかいが伝わってくるような、そんな映画だった。


 この映画に『さよならテレビ』というタイトルをつけたのは、客を呼び込む興行としては、抜群のセンスだと思う。


 そして、呼び込まれて見る内容としては、期待を裏切らないすぐれた作品だ。


 一筋縄ではいかないしかけは、大ヒットした『カメラを止めるな』に通じるところがある。


 番組キャスター、ベテラン記者、そして新人記者と三様の人間の感触に心を打たれるが、同時に、カメラさんや音声さんなど、現場の技術系の方々のしっかりとした仕事ぶりにリアリティがある。


 テレビの正社員と派遣、契約で働くスタッフとの微妙な違いや、視聴率に追われる現場の様子なども印象に残るが、最後に感じるのが「人間」であるという点に、この映画のすぐれた芸術性があるのだと思う。


 メディアの現在、メディアで働く人たちの息づかいに関心がある方すべてにオススメの作品です。


(2019年1月2日、ポレポレ東中野にて鑑賞)


(クオリア日記)

(クオリア映画評論)


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