1110回


ドラゴンさん


こんにちは、茂木先生
僕は高校一年生の男子です。
最近、親と議論になることが多く、ある日の議論で親が「人生なんて才能で決まる」と言ってきたので、僕が「いや、続けられるかどうかのグリットの力で決まる」と主張し、「そういう実験結果もある」と言うと親が「成功しなかった人が実際その力を得ていても成功したかはわからないし、成功した人にその力がなくても成功していたかもしれないだろう」と言い返してきました。その後、議論が進まないまま終わりました。しかし、この主張は科学とか、実験とか全てを無意味にしてしまうような気がして、腑に落ちないです。「実際にそうなるかはわからないだろう」 たしかにそんなような気もするのですが、それだと心理学とか傾向について調べる学問が無駄である気がしてしまいます。
この主張に対して、先生はどう思いますか。
また、有効な反論方法はありますか。


ご回答。


そうですか、そのような議論をするというのは、レベルの高いご家族ですね!



それは、ドラゴンさんの方が、エビデンスや論理で言えば正しいのです。親御さんは、ご自身の今までのお考え、常識にとらわれているだけです。


ただ、それと、お父さま、お母さまに人間として親愛や、尊敬の念を抱くことは両立しますよね。


今は日進月歩の時代で、科学的知見も、ご指摘のグリットを始め、様々な人格因子についての理解、研究も進んできています。


そんな中、「才能」と言っても、IQだけでなくさまざまな要因が関与すること、そしてそのような要因を生み出すのは環境やひととのつながりなどいわばネットワーク的なものであることも明らかになってきています。


このようなことについては、生まれてくるのが遅い、ドラゴンさんのような「次の世代」の方が一般にリテラシーが高いのは当然と言えば当然です。


これからも、ドラゴンさんの方が知っていたり理解が深いことはたくさん出てくるでしょう。


親は、論争する相手ではなく、次第に、大切にする、尊敬する、慈しむ存在になっていくと思います。


それが、ドラゴンさんが成長するということなのです。


もちろん、親の方が経験があったり、洞察が深いこともたくさんあるわけですが、それは人生を重ねていくうちに次第にわかってくると思います。


またこのスペースにいらしてくださいね。

nounandemo
 
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