『東京藝大物語』のエピソードの中で白眉はやはり大竹伸朗さんのハイキックだと思うのだが、あの時、ちょうど東京都現代美術館で大竹さんの集大成といえる「全景展」をやっていて、その絶頂の大竹さんに杉原信幸(杉ちゃん)はは楯突いたのだった。


 そんなことを思い出していると、もう、石器時代とか、明治時代のような気がしてくる。


 あれから、たくさんの水が橋の下を流れたなあ。


 あの時の、あの流線型の足先の軌跡が、ぼくが人生で見た最良のスローモーションだったなあと、最近しみじみと思い出すのである。


 冬が深まってまいりました。


(クオリア日記)