連続ツイート2367回をお届けします。文章はその場で即興で書いています。本日は、感想です。


しばしば、(日本的な定義における)「Fランク大学」の学生さんの資質として、例えば1/2+1/3といった分数の計算もできないとか、大学なのにbe動詞をやっているとか言って揶揄されるけれども、何の問題もない。問題の本質は、これらの学生さんの「学力不足」にあるのではなく、全く別のところにある。


小学校、中学校を経て、大学生になっても、1/2+1/3の計算ができない方がいらしたとして、まずその能力の欠如は、別の能力の発達と相補的な可能性がある。脳の個性は長所と欠点が表裏一体で、dyslexiaを始めとして多くの事例で一貫している。分数の計算ができない分、すごいことができる人はいる。


脳の回路が1/2+1/3の計算ができないということは、典型的にはそのような情報処理に使われている回路のキャパが余っていたり、他の情報処理に使われている可能性があるということで、そのように欠点と長所を一体として全体を見ないと個性はわからない。減点主義は意味がないだけでなく科学的ではない。


もっと別の問題があって、もし1/2+1/3がわからないまま中学、高校と進んでいるんだとしたら、一体学校というシステムはその間何をしていたのかということである。active learningや探求学習の最新のモデルでは、学習の効率は平均値ではなく「落ちこぼれ」の割合で評価するのであって、


「落ちこぼれ」を生む学校システムはそれ自体に欠陥があるのである。1/2+1/3がわからないのならば、中学相当、高校相当の年齢になってもそれをやっていればいい。そのような個別の能力に合わせた学びの可能性を提供しないのは、学校システムの欠陥であって、個々の学び手の失敗ではない。


高校相当の年齢になっても分数の計算は1/2+1/3をやっているけれども、その代わり、例えばGarage Bandのようなソフトを使ってregionとかloopを駆使して音楽をつくるのは天才という人がいて全く構わない。そもそも科目数が少なすぎるのであって、脳の多様性を考えると科目は100も1000もある。


ネットなどでよく見られる、「Fランク大学の学生は1/2+1/3もできない」と揶揄する書き込みは、書き込む人の理解の稚拙さ、愚かさと、既存の学校システムの根本的欠陥を反映しているに過ぎない。そのあたりの愚かさの悪循環から脱しないと、ほんとうに大切な日本の教育の立て直しはとてもできない。


以上、連続ツイート2367回「Fランク大学では1/2+1/3もできないなどと揶揄する人たちの愚かさ」をテーマに、7つのツイートをお届けしました。

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