連続ツイート2357回をお届けします。文章はその場で即興で書いています。本日は、感想です。


歌舞伎はいろいろな意味で「奇跡」の芸術だと思う。なによりもすごいのは、未だに大衆的な人気を誇っていて(みな、「勉強」のために歌舞伎に行くのではなく、ほんとうに楽しむために行っている)その一方で高い芸術性があるという、そのバランスが素晴らしい。


歌舞伎のすごいところは、一方で勧進帳のような本寸法の古典を演じ続けつつ、「ワンピース」や「初音ミク」のような新しいモティーフも入れてそれを歌舞伎にしてしまうことで、つまり時代とともに革新しつつ伝統も守るという離れ業をやっている。


歌舞伎は、型や所作が確立しているからこそ、その分自由がある。市川海老蔵さんが以前おっしゃっていたけれども、一つの演目の稽古をたとえば2-3日でやって作品が成立してしまうのは、役者の卓越した能力に加えて、型のちからが大きいと思う。


来年の市川團十郎襲名公演は三ヶ月連続で歌舞伎座で昼夜やるんだと思うけれども、これだけの演目を成立させられるのも、歌舞伎の型のちからで、ゼロから立ち上げる現代演劇ではとてもそのようなことはできない。


さかのぼって、江戸時代の歌舞伎は、臨機応変にその時々の世事を入れた趣向を取り入れていたはずで、そのような自由が効いたのも、歌舞伎の「型」がしっかりと存在していたからで、型があるがゆえの自由ということが大きかったのだと思う。


型やスタイルがあるからこそ、変化に適応できて、融通無碍に新しいことができるという歌舞伎の強さは、まさに激動の中にある現代の私たちにとって、大きなインスピレーションだと思う。来年の團十郎襲名公演が楽しみだ。


以上、連続ツイート2357回「型やスタイルがあるからこそ変化に適応できる歌舞伎の力に学ぶ」をテーマに6つのツイートをお届けしました。

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