ずっと前から行きたかったところに、やっと行けた。
それも、行こうと思って行ったわけじゃなくて、今回学会があったインターラーケンから、チューリッヒに移動する時に、途中にルツェルンがあって、そういえばルツェルンと言えばトリプシェンがあるなあと思いだして、それで行くことにしたのだ。
駅から歩いて20分くらいらしい。
トリプシェンはリヒャルトワグナーが6年間住んだところで、ここで『ニュルンベルクのマイスタージンガー』と、『ジークフリート』の三幕を作曲した。バイエルン国王のルートヴィッヒ2世(ノイシュヴァンシュタイン城をつくった人)も来ていたし、当時ワグナーに心酔していた哲学者のニーチェもしばしば訪れた。
ぼくが好きなエピソードは、ニーチェが来たときに、ちょうどワグナーがジークフリート三幕の「私を目覚ませた人が、私を傷つけたのです!」(Verwundet hat mich,
der mich erweckt!)というところを作曲していたというやつで、このエピソードは、私が書いた短編小説「トリープシェンにて」でも引用されている。
https://lineblog.me/mogikenichiro/archives/8401621.html
それで、いよいよ訪れることになって、ルツェルン駅からグーグル先生を頼りにてくてく歩いていった。
途中の道がどんな感じか心配だったが、湖沿いにずっと気持ちのよい歩行者の道が続いていて、すばらしかった。
ヨーロッパは熱波で、ルツェルンも30℃を超えていて、みな湖で泳いだり、水着で芝生の上に横たわってくつろいだり、ほとんどビーチ状態だった。
それで、いよいよ近づいたトリープシェンだけど、突端で緑に覆われてすばらしい環境にあった。
建物の保存状態は良い。周辺は公園になっていて、やはりここにも泳いだりビーチ状態の人たちがたくさんいた。
館内には手紙のファクシミリなどいろいろ展示されていた。
もうワグナーもニーチェもコジマもルートヴィッヒ二世もいない。
彼らの生きたいきいきとした時間を思って、いろいろなことを自撮りの動画でしゃべった。
興味のある方は、見てみてください。
(クオリア日記)