連続ツイート2257回をお届けします。文章はその場で即興で書いています。本日は、感想です。
ロジャー・ペンローズの話を久しぶりに聞いて、understandingやawareness, consciousnessについての主張が全く変わっていないのを見てなんだかうれしかった。今のAIの統計学習全盛の時代に、ペンローズさんがAIには「理解」がない(一般的に、アルゴリズムに基づく「計算」過程には「理解」がない)
という直感を維持していることは心強かった。ペンローズさんがいつも引用するゲーデルの不完全性定理や、グッドシュタインの定理は、確かに「理解」というものが内包しているメタ性の何かに触れている気がする。ただ、それと意識の理論との距離はまだ埋まっていなくて、しかしペンローズさんの直観は
そこにあるのだということは感じられる。ペンローズさんの話は、いつも、この宇宙の成り立ちのリアリティについてのひんやりとした感覚に満たされていて、そのあたりが、人間中心で単にベイズ的推定をすれば事足りるという最近流行りの学問のありかたとは根本的に異なる。
ペンローズさんの思考は、すでにポスト・ヒューマンというか、トランスヒューマンなのである。このあたりの現実についての感覚を持っているかどうかで、その人の思考や、つくる理論は変わってくるのだろうと思う。ところで、ペンローズさんと言えば手描きのOHPでのトークが名物であるが、
今回はちゃんとMacBookを使っていて(主催者が用意したものだけど)笑ってしまった。それでも、トークの資料そのものは、やはりOHPにペンで書いた文字や描いたイラストで、そのタッチが全く変わっていないことがとても楽しかった。
トークの途中で、パワポの操作を間違えて縮小してしまい、「あれ、これ、小さくなったよね。どうしちゃったんだろう。こういうの苦手なんだ。」とつぶやいていて、係の人が助けたら、「そうか、ここを触るとダメなんだ、気をつけよう」と言っていたのがとてもチャーミングなペンローズさんだった。
ペンローズさんの話を聞くと、そうではない人たち(統計学習がうんぬんとか言っている人たち)の話を聞くのとは全く違う脳の部位を刺激されて、このプラトン主義者の話は、きっと何世紀も後に生きてくるんだろうと思う。ペンローズさんまだ元気だけど、長生きしてほしいと心から願った。
以上、連続ツイート2257回「ロジャー・ペンローズさんの話を久しぶりに聞いて感激いたしました」をテーマに7つのツイートをお届けしました。