昨日、秋葉原で高校生対象の講演会があって、最初の40分の話の部分はストリーミングされて、それからストリーミングされない質疑応答があったんだけど、そこでのやりとりが面白くてびっくりして、大いに発見があった。


 一つわかったのが、今、いろいろな高校で国際化とかアクティヴラーニングとか探求学習の取り組みが始まっているということで、大いに素晴らしいことだと思った。


 また、高校生たちの考えもしっかりしていて、行動していて、とてもいいと思った。

 日本の未来は明るい!


 一人の男の子は、アメリカで経営学を学ぶと言って、まずはコミュニティ・カレッジに行こうとしているんだけど、残高証明書が足りないから、高校出たあと一年働いて200万つくると言っていた。すごい!


 別の男の子は、ニュージーランドに行った経験から、ロンドンのUCLに行きたいと言っていて、最後にハカを披露してくれた。


 ある女の子は、自分で高校の勉強をしつつ、将来、学び方を変えたいということで、いろいろな人と議論しながら探っていると言っていた。


 また、別の女の子は、卒論で「藝術と孤独」について書いていて、その論文の内容を、質問というよりも10分くらいにわたって詳細に教えてくれた。立派な内容だった!


 びっくりしたのはある女の子で、その高校のその部は一年間留学必須で、帰ってきたところなんだけど、ゼミみたいなのがあって、そのゼミで現代科学についての論文をみんなで読んでいて、ところがそのゼミのテーマがSTEM全体なので、なかなかフォーカスが絞れないから、どうやったら全体像を見つつうまくテーマ設定を絞れるか、みたいなものすごく高度な問題意識を持っていて、その場に居合わせた大人たちは皆「おーっ、この子、高校生というより、もう大学生、いや、大学院生、というか大抵の会社で、もう即戦力なんじゃないか」と思ったのだった。 

 自分自身としては、記憶や思考過程を視覚化する研究に興味があるそうだ。アメリカ留学中に学習障害の子をボランティアで教えていて必要性に気づいたそうだ。

 その子は今、世界最難関と言われるミネルヴァ大学(画期的に新しい大学のあり方。大学設置基準のような意味のない規制のないアメリカだからこそできる)を目指しているようです。


 全体的に素晴らしかった。

 日本の遅れた教育とか受験制度とか確かに問題だけど、それに関係なく動き出している高校生たちはたくさんいるわけで、そっちの方を応援したいし、そっちの方で彼らががんばっている先でこっちも何かプレゼンスがあるようにがんばっていったら楽しいと思う。


 東大医学部在学中に司法試験に合格とか、そういう、「試験合格大好き系」の日本の旧来メディアがつくりだしたエリート像って、本当にくだらなくて幼稚園レベルだと思う。

 医者になってそれからどうするの?

 弁護士になって、それからどうするの?

 試験秀才は幼稚園レベルの秀才に過ぎず、そのあとは大抵凡人になっていく。

 まあ、人によってわからないけどね。


 そんな日本の低レベルのエリート像とは隔絶した高校生たちのニーチェ的な晴れやかさに、大いに意を強くした午後だった。


(クオリア日記)