877回


知財屋さん


 こんにちは。知財屋と言います(40代男性会社員です)。

 理解型と納得型について、茂木さんはどのように思われますか?

 予備校講師の方が書かれたある本に、以下のような記載がありました。

 理解型は、教室で授業を受ける時や、参考書を読むとき、すべてを頭から正しいものと受けとめ、肯定的に理解しようとする。
 「そもそも数学という教科は、誰か知らぬが頭のいい人間がつくったものであって、教科の内部は構造的に整合性があり、必ず問題に対する答えはある」と無意識の内に考える。

一方、納得型は、以下であるそうです。

 一つ一つの事柄に対して、納得出来ないと気が済まない。授業中に疑問点があれば質問する。問題が解けないと、そこで膠着してしまってなかなか先に進めない。

 前者はいわゆる成績のいい学生に多く、先生からの受けもいい。後者は、成績が振るわないことが多い、との記載もありました。

 私自身は典型的な納得型で、ある数学の問題の解説について教室で納得感が得られず、放課後や帰りの電車の中までずっと考え続けたこともありました。また高校生当時、世の人はみんな自分のように納得型と思い込んでおり、理解型で受験勉強等に取り組まれた方も少なからずいると知ったのは30代になってからでした。

 Webで調べてみますと、納得型は研究者の方に多く新しいアイデアを生み出すなどに有利であると思われるものの、受験などには不利な傾向があるとの意見がありました。資格試験の指導者の中には、分からない問題を考え続けるのは無駄なので、その場合はすぐに答えをみて解法を覚えるべき、という方もいました。
 
 社会人になり、理解型もありと気づいてからは、資格試験のための勉強などでは、問題集の解答に疑問が生じても、こう答えて欲しいんだと割り切って、その解答を暗記して進めることで、いい結果が出ることが多かったです。

 茂木さん自身は、理解型、納得型で言うとどちらの傾向が強かったでしょうか?(単純に分類できるものではないと思いますが)
 また受験や資格試験のようなペーパーテストでは理解型、研究などは納得型で考えるとうまくいくというのは妥当と思われるでしょうか?

 長くなってしまいましたが、回答してもらえれば幸いです。

 よろしくお願いします。


ご回答。


 Alan Turingだったか、Wittgensteinだったか、そのあたりの人の学生時代の様子を、教師目線で(Bertrand Russelだったと思うのですが、記憶が曖昧です)描写した文章の中で、ケンブリッジ大学の授業で他のみんなが理解したような顔をしているところを、その人だけHe looked puzzledと記述していて、印象に残りました。


理解型、納得型という二分類についてはわかりませんが、そう簡単には理解したと思わないというのは確かにすぐれた資質の一つといえるのかもしれません。


一方、脳の機能として、計算問題やプログラミングのように「手続き記憶」的な側面も重要なので、知財屋さんのおっしゃる「理解型」というタイプが悪いとも言えません。


私自身も、理解型、納得型の両側面があるように思います。


知財屋さんだったらおわかりになると思いますが、そもそも、脳の複雑なパラメータ空間を理解型、納得型と二分することがナンセンスなので、そういう話は話半分に聞いておくのがよいのではないでしょうか。

nounandemo
 
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