天皇陛下のご退位の儀式の様子を、ぼくはその時ちょうど仕事の移動で歩いているときで、スマートフォンでNHKラジオで聞いていた。


最初はスタジオで話し合われていたが、17時になっていよいよとなったら、テレビと同じ音声になった。


一瞬、立ち止まって映像で見ようと思ったけれども、歩かなくてはならなかったので歩き続けた。


アナウンサーの方が、現場の音声とともに儀式の様子を伝える。


そうしたら、松の間を歩く侍従の方々の足音が、ぎい、ぎいと、迫力のある響きで聞こえてきた。


ぎい、ぎい。


それは、時代が代わること、三種の神器を持って歩いていることの重みを伝えてくるような気がした。


ぎい、ぎい。


あとで映像でそれと同じ場面を見たけれども、そこにはあの迫力のある「ぎい、ぎい」はなかった。


ぼくは、平成から令和への時代の変化を、「ぎい、ぎい」という音とともに記憶するのだろう。

ぎい、ぎい。


(クオリア日記)