横綱白鵬関の全勝優勝、すごいなあと思う。

 年齢にともなうさまざまなことがあるにせよ、今場所は、むしろ新しい進化を見せたように思う。


 速さとか、柔軟さとか、繰り出す手の多様さとか、ニュー白鵬というか、立ち止まらないその姿勢はほんとうにすごいと思う。


 それで、優勝インタビューの際に、白鵬関が三本締めしたことが問題になっているらしい。


 横綱審議委員会でも取り上げられたようだ。


 ぼくの率直な感想としては、白鵬関のいろいろなことに、いちいち目くじら立てるのはどうなのだろうと思う。


 ただ、横審というのは、相撲のさまざまな文化、伝統を守られるのがお仕事だろうから、職務上、いろいろ言うのが役割ということもあるのだろう。


 いわゆる好角家ということになるのだろうけれども、それぞれ見識と立派なご経歴をお持ちの紳士でいらっしゃるわけだから、大所高所から横綱に物申す、ということがお仕事になられているわけだけれども、世間からは、自分で相撲をとったこともないのにと反発を受けることは当然予想されるわけで、大変というかある意味では損な役回りだとも思う。

 それでもお引き受けになるのは、名誉なことであるし、それだけ相撲がお好きなのだろう。


 それにしても思うのは、白鵬関にせよ、朝青龍関にせよ、モンゴルのお相撲さんの強さは、今回の白鵬関の三本締めや、あるいは「万歳」のことなど、相撲界のしきたりをときにはみ出してしまうやんちゃさと関係があるのではないかということだ。


 優勝インタビューのときに思わず三本締めをしてしまうからこそ、白鵬関は強い、ということもできるんじゃないかと思う。



 横審の先生方が、相撲の文化を守ろうと職務熱心なことは理解するし尊敬申し上げるけれども、相撲の神さまは、上のような白鵬関のちょっとやんちゃでいたずらな部分も、きっと大目に見て愛されていらっしゃるのではないかとも愚行するのである。


(クオリア時評)


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