823回
そうさん
こんにちは。そう、というものです。
浪人したけれど第一志望の大学に落ちてしまった者です。
私の第一志望合格への最初のモチベーションは夢の実現のために、リベラルアーツ教育を受けるためでした。
私の夢は「新しいテクノロジーを用いて、誰もが自由な発想で楽しめ、そしてその発想を肯定できるだけの懐の深さを持った、言葉に依存しない、新しい"物語体験"を作ること」であり、その実現のためには物語とテクノロジーについて深く知る必要があると考えたからです。
ですが、いま受験生活を振り返ってみると、当初の目的を見失っていたように感じます。
まだ受験生じゃなかった頃、学校帰りに買ったノートに自由にアイディアを書き溜め、それを紙芝居のようにまとめ、時折友人に話すのが、ただ楽しかったです。
ですが受験が近づき、一人二人と話を聞いてくれる友人が減っていきました。クラスでは偏差値、学歴、ランク、就職といった言葉が幅を利かせ始め、親や学校が受験モードに変わっていく中で、私は日々強くなる孤独感や疎外感と、それでも夢見た自由な世界への憧れが、重たく感じるようになりました。
目標の大学がまるで「蜘蛛の糸」ようなもので、なんとか掴まないと地獄に落ちてしまう……そんな風に思うようになりました。その傾向は浪人になってからも続き、むしろ逆に強化されたように感じます。「社会とは厳しいもので、時に自分の考えや自由な発想を捨ててでも、一般的に広まっている共同主観に合わせていかないと認めてもらえないのだ」という考えに反発した夢を抱き、そのために勉強してきたつもりが、その考え方に大きくハマってしまったようです。
私は、ただ自由なものが欲しかった。そして、誰かに認めてほしかった。その2つだけなのだと思います。ですが、私はこの1年くらい、その2つの間で板挟みになってしまいました。
第一志望の大学に落ちた今、このままでは夢も失い、社会的に認められず孤独になってしまう……そんな不安が消えません。社会的に認められる事に囚われたくないのに、囚われてしまいます。孤独が怖いです。そして、未来永劫それに囚われ続ける自分を考えるともっとゾッとします。
茂木先生に質問です。どうしたら、こうした社会的な安定に過度に囚われずに、自分の夢と向き合えるのでしょうか。
ご回答。
そうさんは、とてもまっとうで、素敵な感性の持ち主だと思いますよ!
ぼくが学生だったころも、周囲に、「偏差値、学歴、ランク、就職」だとか、そういうことを、したり顔でいう人たちがいました。
ぼくは、そのような人たちを、「この人たちは何なんだろう?」とふしぎな気持ちで眺めていました。
そのような人たちは、世間というものはそういうものだと疑っていないし、自分たちがそのような世間を代表していると思っているのです。
ぼくは、そういう人たちに共感したことが一度もないです。
だけど、なんとか生きてきました。
そうさんも、だいじょうぶですよ!
そんなに数は多くないかもしれないけれども、そうさんのような感性の方もいらっしゃいます。
大学とは関係なく、そんな感性を育まれていってください。
そうしたら、小さな花が咲くでしょう。
なんか、ドラマかなにかのセリフらしいのですが、ロンドンでよく見かけた言葉で、Normal people scare meというセリフがあります。
「普通の人たちは、私を怖がらせる」
そうさん、この言葉をTシャツにして売っているロンドンって、よくないですか?
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