鳩山由紀夫さんが、地下への二酸化炭素の地中貯留(Carbon Capture and Storage、CCS)によって地震が起こることがあるとツイートされたことを多くの人が論じていらっしゃしますが、このような人工的な地震の発生があり得ることはほぼ確立した事実のようです。


ここに簡潔にまとめられています。


https://en.wikipedia.org/wiki/Induced_seismicity



ただ、そのマグニチュードは、小さい場合がほとんどだということです。

CCSによって大規模な地震が起こるかどうかは、論争的(controversial)だとして以下の一連の文献が引用されています。


 Vilarrasa, Victor; Carrera, Jesus (2015). "Geologic carbon storage is unlikely to trigger large earthquakes and reactivate faults through which CO2 could leak". Proceedings of the National Academy of Sciences. 112 (19): 5938–5943. Bibcode:2015PNAS..112.5938V. doi:10.1073/pnas.1413284112. PMC 4434732. PMID 25902501.


^ Zoback, Mark D.; Gorelick, Steven M. (2015). "To prevent earthquake triggering, pressure changes due to CO2 injection need to be limited". Proceedings of the National Academy of Sciences. 112 (33): E4510. Bibcode:2015PNAS..112E4510Z. doi:10.1073/pnas.1508533112. PMC 4547280. PMID 26240342.


^ Vilarrasa, Victor; Carrera, Jesus (2015). "Reply to Zoback and Gorelick: Geologic carbon storage remains a safe strategy to significantly reduce CO2 emissions". Proceedings of the National Academy of Sciences. 112 (33): E4511. Bibcode:2015PNAS..112E4511V. doi:10.1073/pnas.1511302112. PMC 4547211. PMID 26240341.



今回の地震と苫小牧でのCCSのオペレーションの間に因果関係があるのかどうかはわかりませんが、一般にCCSと地震の発生の間に関連があるという可能性が科学者の間で指摘、研究、議論されているという事自体は知って置いて良いことだと思います。


今回の鳩山さんのツイートを一概にデマなどと決めつけることは、かえって科学的ではないと思います。


もちろん、CCSのオペレーションをされている専門家の方々はこのような学術情報は熟知されており、必要な技術的検討、対策をとられているものと信じます。


このような機会に、科学や技術についてのリテラシーを高めることに、社会全体としてみんなで気遣いしていけばと願っています。


今回の地震で被害を受けられ、生活への影響があったみなさんに一日も早く平穏な生活が戻ることを、心からお祈りしています。