778回




茂木健一郎です。今朝は、特別に、usakochocoさん、柚木餅さんのご質問にあわせてご回答いたします。

usakochocoさん

うさこと申します。

高校一年生の長男のことで、悩んでいます。

今年の冬休み明けから学校へ通えなくなってしまいました。多分学校で1人ぼっちだからだと思います。1人ぼっちが辛いのではなく、「あいつ、いつも1人でいる」と思われるのがつらいようです。

昨日は先生達と話をして、後一ヶ月くらいだからもう少し頑張れと励まされ、本人もその時は納得したのですが、やはり朝になるとどうしても無理なようです。

先生も休み休みでいいと言ってくれていますが、気持ちの問題なだけに気持ちがうまく切り替えられるのか、不安です。どのようにアドバイスしたら良いでしょうか。


柚木餅さん

はじめまして。 現在高校2年生の17歳です。

早速ですが僕は現在、高校を中退するかしないかということで非常に悩んでいます。

僕は絵を描くのが好きで、以前は高校を卒業してからアニメ業界に進もうかと考えていました。しかしyoutubeで茂木さんの講演動画や他の方の動画などを拝見しているうちに、高校に通うことがとて無駄に感じるようになってきました。授業もとてもつまらなく感じます。ただ、勉強することがめんどくさいとか、嫌いだとか、そういう訳ではなく、英語や量子力学、経済や社会などの勉強は自身の世界が広がる感じが良く、かなり楽しく感じています。

高校を中退したいという気持ちが沸きだしたのはここ最近になってからです。高校の授業が全くの無駄だとは思いませんが、僕自身が高校の授業をあまり肯定的にみれていない現状のまま授業を受け続けるよりは、今すぐ社会にあしを踏み入れた方が良いのではないかと思っています。僕の通っている高校はバイトが禁止されているので社会と関わる機会が現状のままではあまりもてません。それと、絵を描く時間をもっと確保したいです。

以上が高校を辞めたい理由を自己分析したものですが、高校をやめられないのは単純に僕に勇気と自信と知識が足りないのが原因だと考えています。中退して本当に大丈夫なんだろうかと思ってしまいます。とても怖いです。どうすべきかわからなくなります。


そういうわけで、茂木先生自身のお考えやアドバイスなどをいただけたら幸いです。
ご回答よろしくお願いします。

ご回答

usakochocoさん、柚木餅さん、こんにちは。

お子さんが学校に行きたくなくなった時、行けなくなった時、ご自身が行きたくなくなった時、行けなくなった時、どうしたらいいのか、心配だし、迷いますよね。

まず、学校に気持ち的に行けなくなった時には、もう身体と脳が「答え」を出しているので、無理して行かない方がよいのです。

心の内面は見ることができないので、外から見ているとサボっているように見えることもありますが、実際には、気持ちの問題として(そしてその気持の背景にはきちんとした脳的、そして身体的理由があります)行くことができないのです。

また、何か不登校の「理由」があるはずだから、それを突き止めて解決すれば行けるようになるはずだと思うことも、よくないことなのです。

人間の無意識は複雑で、そこには複合的な要因が絡んでいます。もちろん、さまざまな要素を検討することは大切ですが、理由さえわかって対処すればだいじょうぶと思うことが、かえってストレスになってしまうのです。

ですから、ゆっくりと時間をかけて、待つのがいちばん良いのです。家庭でも学びはできるはずです。自分の興味を持ったことを、自分なりのやり方で学ぶホームスクーリングを実施していると考えれば、それは一つの立派な選択肢です。今の時代、学校だけが唯一の選択肢ではありません。

一方、柚木餅さんのように、学校の授業にあまり価値が見いだせない、他にやりたいことがある、社会に出たいという場合、いろいろと考えるべきことがあります。

私は、大学生に、学校をやめるべきかどうか相談されたときには、「今すぐやりたいことが具体的にあって、それをフルタイムで今やらないと人生がもったいないという焦りと情熱があって、学校に行っている場合じゃないというような時には、やめてもいいんじゃないか」とアドバイスします。

具体的には、たとえば起業して、会社を経営したり発展することが今すぐフルタイムでやるべきことだという場合には、学校をやめるのもよい選択肢だと思うのです。

大学生くらいになったら、社会とそのように主体的にかかわる準備もできているからです。

柚木餅さんも、もし、今すぐ具体的にフルタイムでやりたいことがあって、それをやらないと人生あとで後悔する、というようなことがあるのでしたら、高校をやめるのも一つの選択肢だと思います。

そうでないのならば、高校時代の私がそうだったように、授業は授業で聞いていて、試験も受けて、残りの時間に自分の興味の持っていることを学校のカリキュラムと関係なく思い切りやるというのも一つの考えだと思います。

ダブルの立場を担うのはそれなりに忙しいですが、今の時代、複数の文脈を引き受けるのはとても大切なことで、その練習を高校の時からしていると思ったら、案外楽しいかもしれませんよ。

nounandemo
 
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