東洋大学の学生さんが、竹中平蔵さんを批判するビラを配ったということで、それに対して大学が学生さんを呼び出して尋問した結果、「退学」を求めた、というような情報がネットで昨日から流通している。

 これについては山本一郎さんのちょっと複雑な構造をした諧謔的文章が出ていて


これを読んで山本さんは大学の対応を支持するのかとか憤る人が出ているようだけど、読めばわかるようにそんなことはなくて山本さん独特の(良い意味でも悪い意味でも)底意地の悪い文章の趣旨はむしろ別のところになる。

 それで、この問題、情報が足りないことを前提に感想を述べれば、まず、学生さんのビラの中の竹中平蔵さんに対する批判は、よくネットなどで見る範囲のことで、大学のキャンパスで学生が行う活動としては、よくある話、そのスペクトラムの内部だと思う。

 もともと学問の自由、表現の自由を大切にすべき大学においては、むしろマイルドなくらいじゃないかと思う。

 それに対して、大学がわざわざ呼び出して、退学勧告をする、みたいなことがあるとはとても思えず、フェイクニュースなのではないかとすら感じる。

 もしそういうことがあるとしたら、東洋大学が私の理解するところの「大学」とは異なる存在だということだろう。

 いずれにせよ、今回の件、大学の本来のあり方に則り、ビラを配った学生さんに対しては特段の処置がないのが当然だし、東洋大学もそうすると今のところ信じている。

 竹中平蔵さんの功績についてはその良いところも含め、いろいろと議論されるべきだし、竹中平蔵さん自身も、学者として、それを当然許容、歓迎されるものと思う。

(クオリア時評)


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