米津玄師さんが紅白に出たことが未だに話題になっている。

現場となった大塚国際美術館には私も以前行った。すばらしいところで、このことをきっかけにさらに注目されたらいいと思う。
米津さんのようなアーティストが出てくるから、音楽のちからを信じ続けることができる。

「ハチ」名義で活躍されているころから圧倒的な楽曲、映像をつくってきた米津さん。
最初はどんなに無名(というかみんな最初は無名だ)でも、すばらしい曲をつくっていれば人の心を動かす。

そして、紅白にも出る。
音楽自体の持っている力だ。

しかし、米津さんにとって紅白出場が必要だったのかどうか、結果としてすばらしい生歌唱が聞けてそのパフォーマンスの神業的なクオリティの高さが多くの人に感動を与えたという点で意味があったのだろうけれども、(あったらしい)交渉の過程では、米津玄師さんが紅白を必要としているというよりは、紅白が米津さんを必要としているように見えた。

紅白は、今のところ、日本の音楽シーンの最高の舞台の一つになっているけれども、これからはどうだろう。

たとえばテイラースィフトさんのコンサートが「ネットフリックスペシャル」に出ているけれども、紅白とネットフリックススペシャルを比べたらどうなのだろう。

数年後はどうなっているのだろう。


ネットフリックスペシャルはグローバルな舞台になるけれども、そこで、紅白というコンテンツは通用するのだろうか。
数年後、紅白がネットフリックスから配信されることはあるのか(他のプラットフォームでもいいけれども)。
米津玄師さんのようなすぐれたアーティストがいきなり世界ツアーをすることが普通になるのだろうか。

いろいろな風景が変わり行く(かもしれない)一つの象徴として、今回の米津玄師さんの紅白出場の「見え方」「感じ方」が私の中ではあった。

(クオリア時評)

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