747回

ケイさん

茂木先生へ

作業療法士をしておりますケイと申します。
利き手交換における脳への影響についてお尋ねします。
幼児期に右利きを左利きにした際の脳への影響はどのようなことがあるのでしょうか?
回答よろしくお願いいたします。

ご回答。

左利き、右利きが生まれる遺伝的、発育的要因はまだ解明されていません。25%くらいの遺伝的影響があるとされています。胎児の段階で、すでに利き手の傾向があります。

左利きの方が、右利きになるように教育されるのは、特にアジアで顕著なようです。最近は左利きのままでいい、という考え方が台頭してきています。

左利きの方を右利きにしたとき、有位な脳半球が右から左に移るわけですが、それでもかえって右半球の活動が残ります。もともと脳の左右差があるわけで、それを完全に変換することはできないのです。

脳への影響として、もし、左利きから右利きへの変換が本人の意思や発達のスピードを無視して強制されると、ストレスや困難からさまざまな影響が出ることが知られています。ですから、現代的な考え方としては、無理して変換しないこと、また変換したとしても無理なペース設定をしないことが肝心です。

一つの考え方として、両利きを目指すというものもあります。日常生活の道具などが右利き用につくられているため、左手に加えて右手も使えた方が便利だからです。その場合、右手を使う練習に加えて、左手も使い続けることを許容する、禁止しないということが大切です。


nounandemo
 
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