746回


Samさん


茂木先生、こんにちは。シャイニーと申します。いつも楽しく拝見しています。37歳で2人の子供がいます。

たまたままとまった時間がとれたこともあり、「シンギュラリティは近い」というレイカーツワイルさんの本を読みました。数十年後にはテクノロジーが人間の脳の能力を超えて、人間の脳がテクノロジーと融合し、その生物学的限界を超える、というSFチックな主張も、AIがオセロ、将棋の王者を破ったというここ最近のニュースを目の当たりにして、一定の現実味を帯びているなと感じました。そこで、脳自体を研究されている茂木先生が、脳がテクノロジーと融合してその生物学的限界を超える、という考えを現状どのように捉えていらっしゃるか、非常に興味があります。茂木先生の研究対象であるクオリアが、ここでいう処理スピード、記憶容量といった意味での脳の能力とは異なる分野であるということは理解しつつも、この本の中でレイカーツワイルさんが予測するシンギュラリティが起こった後の世界の実現可能性及びそのような世の中で生きていくために子供たちにどのようなアドバイスをしてあげたらいいのか、茂木先生のご意見、お考えをお聞かせいただけたら幸いです。私自身、AIに取って代わられる職業ランキングNo.2の職業についていることもあり、非常に気になっているところです(汗)


ご回答。



この世界は非線形で、決定論的カオスもあるので、レイカーツワイルさんを始め、誰にも未来は予想できないと思います。

シンギュラリティも同様で、今もう起こっているとも言えるし、未来にわたって来ないかもしれない。


脳とテクノロジーの融合については私は極めて懐疑的です。


人工視覚のように、第一次視覚野が空間的位相がはっきりしていることを使ったいわばトリビアルな事例をのぞいて、言語や感情の本筋で脳とデジタルのインターフェイスができるとか言っている人たちは詐欺師か考えが足りないかうかつなだけでしょう。


むしろあり得るのは脳とは別個のAIやロボットが驚くべき能力を持つことで、そっちの可能性は生物としての人間を超えて勝手に進化していくのではないでしょうか。生物としての人間がそのような人工環境に適応するということは起こるのではないでしょうか。


一つの職業がなくなっても、たくさんの新しい仕事が生まれます、。人手不足はむしろ加速して、解消されないのではないでしょうか。

nounandemo
 
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よくある相談項目を集めて、回答した本です↓

『すベての悩みは脳がつくり出す』