是枝裕和監督の『万引き家族』、さまざまな見方があると思いますが、私は、それぞれの事情をかかえて一つの家に身を寄せている人たちがつくった「家族」の幸せの原風景が心にしみました。


 是枝監督の画面づくりは、日常の猥雑さをとらえているようでいて、実は細かいところまで「質感」のつくりこみがなされており、視覚的に押し寄せてくるものがあります。

 

 また、カットからカットへのつなぎ方も、会話の余韻が残るままに次のシーンが始めるその重層的な時間の流れが、次第に感情のひだに温かい媒体を満たしていくように感じられました。


 役者さんたちの顔の表情もまた、このような映画の質感の構成と一体となって、強く記憶に残されるものになっていたように感じます。


(クオリア日記)

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