694回


ニックネームさん


茂木先生、こんにちは。

私は現在19才の大学1年生です。最近大人になりたくない(成人したくない)という気持ちが強く毎日が辛いです。

情けない話、この年齢になっても自分のやりたいことや興味があることが全く把握出来ていません。
高校時代の友人は「医師になりたい」「農業に貢献したい」など明確な目標を持って進学していきました。しかし私は最終的に浪人した挙げ句、「就職が良さそう」という考えだけで今の理系私立大学に進学しました。

私立大学という事で家族に金銭面で迷惑をかけてる上に、何も考えず大学に通っている自分が情けなく、家族に申し訳ない気持ちで一杯です。最近はそのストレスで食事も喉を通りません。

精神面はまだまだ未熟なのに、成人する日 にどんどん近づいてることがとても怖いです。

自立した大人になるためにはどうしたらいいのでしょうか。またこの気持ちをどうしたら払拭できるか教えて下さい。よろしくお願いします。


ご回答。


オスカー・ワイルドの『獄中記』(現題はDe profundis、すなわち、Out of the depths、「深淵から」というような意味)の中に、何者かになりたいと願うものはそれになるのだけれども、自分自身になろうとする者は、どこに行くのかわからない、という文章があります。


ぼくは、ニックネームさんが将来何をしたいのかわからないというのはむしろ誠実なことだし、素敵なことだと思います。


あせらずに、勉強をして、ゆっくりと、自分は一体どのような人間なのか、自分自身との対話を積み重ねていってください。


他人は自分を映す鏡ですから、さまざまな方との対話も大切です。



A man whose desire is to be something separate from himself, to be a member of Parliament, or a successful grocer, or a prominent solicitor, or a judge, or something equally tedious, invariably succeeds in being what he wants to be.  That is his punishment.  Those who want a mask have to wear it.

But with the dynamic forces of life, and those in whom those dynamic forces become incarnate, it is different.  People whose desire is solely for self-realisation never know where they are going.  They can’t know.  In one sense of the word it is of course necessary, as the Greek oracle said, to know oneself: that is the first achievement of knowledge.  But to recognise that the soul of a man is unknowable, is the ultimate achievement of wisdom.  The final mystery is oneself. 


http://www.gutenberg.org/files/921/921-h/921-h.htm


nounandemo
 
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