つんつんおばさまは、眠っている。
電車の中に立って、ぼんやりとスマートフォンで本を読んでいた。
そうしたら、ツンツン、と膝を突かれた。
むむむ? と思って見たら、前の席に座っているおばさまが、もう一度膝をツンツン、と突いてこられている。
ますますむむむ? と思ったら、おばさまは、なんだか指で前の方をさしている。
ふりかえったら、逆側の席が空いていた。
あーと思った。
私が、ずっと立っているから、疲れたと思って、席が空いたと教えてくださったのだ。
私は、「あー、ありがとうございます! でも、だいじょうぶです!」とおばさまにお伝えした。
それから、また、スマートフォンで本を読み始めた。
つんつんおばさまは、眠っている。
とってもいい方だ。
このまま、つんつんおばさまを目的地まで送り届けてくださいと電車にお願いして駅で降りた。