仕事の日が変わったのを間違えていて、約束の場所に行ってはじめて気づいて、時間が空いてしまった。
 
 それで、少し歩こうと思って街の中に出た。

 少し雨がぱらついていたのが、止んでかわりに風が出てきた。

 ふと思いついて、iPhoneでラジオ第一をかけたらやっぱり国会中継をやっていた。

 イヤホンから流れるやりとり。ちょうど一番いきいきしているところで、歩きながら聴いていると、少し向こうに国会議事堂が見える。

 あの中で今、この質疑が行われているのだなと思うと、なんだか不思議な気がした。
 街をゆく人の中には、外国からの旅行者も多く、春がもう少しのやわらかな空気に包まれて歩いている。

 その中を、私もまた、時折曇り空を見上げながら進んでいく。

 勘違いから生まれた、ぽっかりと開いたほんの束の間の空白。

 耳から聞こえてくるものと、目にするものとの縁と、そしてずれ。

 大きな物語と、小さな息づき。

 自分が生きていると感じるのは、このような時間において何だよなと思い返していたら、空から雨がぽつりぽつりと降り始めた。

(クオリア日記longer)