中心を外さずに。第89回。


 ヘンデルのメサイアの歌詞に、He was despised, despised and rejectedとある。
 イエス・キリストのことを指しているわけだけれども、新しい価値が登場する時には常にそのようなことがある。
 「印象派」という言葉だって、当時の批評家が批判する時につかったわけだし。

 それは社会の側の安定化装置のようなもので、それだけ可能性があり、勢いがあるから、批判して丸め込もうとするのである。

 もっともそれは必要条件かもしれないけど十分条件ではなくて、単に破壊的、ないしは露悪的なものもある。

 個物とその社会への受容はとても有機的なダイナミクスに基いていて、一つひとつ、一回ずつ違う。だから面白い。


中心を外さずにcloseup.png