第478回

バウさん

茂木先生、おはようございます。
私は都内の大学の文系学部に通う大学3年生です。
以前より就職先として金融業界を考えていたところ、 YouTube に茂木先生と、マネックス証券創業者の松本大さんとの対談の動画がアップロードされていたため、拝見しました。

私は文系学部に在籍していますが、文系学部で勉強することが日本の大学では主流でも、内容としては統計を用いてデータを集めたり、化学的な知識を用いて分かった人間の身体の構造と心の関係性を理解する心理学をやっているわけではなく、むしろそういった数理的な知識はほぼ用いることがない学問を学んでいます。ですが、そういった数理的な知識がない状態では一見理解することが不可能のように思えることに対して、数理的な知識を用いて理解するというアプローチには大変興味があります。

その対談において、松本さんが
「目の前に話す相手がいて(英語を)話すとちゃんと聞き取れて」
と仰ったことに対して茂木先生は
「脳が本気になっていることだと思う」
と仰っております。

ここで疑問に思ったのですが、同じ対談の中で茂木先生は
「感情に関わる物質がドーパミンだとかβエンドルフィンだとかセロトニンだとか、本当にいろんな神経伝達物質が関わって」
と仰っていますが、脳が本気になるというのは、化学的な立場からみるとどういったことが起きて(どういった物質が分泌されて)脳が本気になっているのでしょうか?

ご回答。

脳は、それぞれのタスクに応じて、必要な神経回路の資源を「動員」します。

その際、関与する感覚や運動のインプット、アウトプット情報が「リッチ」なほど、より多くの資源が動員されることになります。

これが「本気」になるということです。

目の前に実際に人がいると、よりリッチで、幅広いスペクトラムの情報が行き来するので、それで多くの回路が動員されることになります。

ドーパミン、βエンドルフィン、セロトニンなどの脳内伝達物質は、そのような回路の働きを助けるものです。これらの物質はいわばメッセンジャーのようなもので、より本質的なのは、回路がシステムとしてどのように動作するかということです。

脳がその潜在能力を発揮する上では、脳内、対人を含めたネットワークが大切なのです!


nounandemo
 
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