第463回

Abu 7ajjiさん

初めまして。

私はハンガリーにある大学で医学を学んでいます。
基礎医学の勉強をテストに受かるためだけではなく、自分が満足するまでやりたいのですが、量が膨大なため時間が足りません。休学をしようかとまでかんがえています。

現在は、2年生で脳神経解剖学、生理学、生化学の科目がメインです。
私の大学ではほぼ全ての科目が口頭試問の試験で、科目ごとにトピックリストが配られ、そこにリストにされた約200個ほどのトピックを勉強し、それについて答えれるようにして試験にいきます。試験では箱の中からくじ引きのように3個ほどトピックを引いて、それを全て説明する、という形です。
多くの学生はトピックアンサーノートという、誰かがすでにトピックごとの答えをまとめたノートを暗記しています。また、難しい内容はヤマを張ってそもそも勉強しなかったりもします。

私は理解するということは、何も見ずに1から100まで全て人に説明できることだと自分の中で定義しています。そのため、全ての基礎科目を、アウトプットしやすいように、そしてロングタームメモリーに入れやすいように建築的に、理論立てて学ぶのが大切だ思っています。これからの臨床科目を学ぶために、現在学んでいる内容はその基礎になると思っているので、細かいところまで全て頭に入れて理解しておく必要があると思っています。
もちろん今とりあえずテストをクリアしていかなければ上にあがれない、抜けがあったら後で出て来たときにまた復習すればいい、という人も多いですが、どうもその答えには満足できません。なぜならこれからやっていく病理学や、病態生理学、薬理学、その他臨床科目はただでさえ量が多いため、いちいち復習をしているわけにはいかないということと、基礎科目は医学の最も基礎の部分だと思うからです。

もちろん人体は全てわかりきってはいないため、全てを学ぶことは無理なのは存じております。そして多くの研究者がいることが証明しているように、その知識の深さというものは計り知れないほど深く、全てをマスターすることも不可能なのはわかっています。歩く辞書になりたいわけではないですが、大学のテストに遮られることなく、純粋に満足いくまで全てを勉強したいです。

茂木さんのご意見お伺いしたく、コメントさせていただきました。

ご回答

ハンガリーの医学教育は、定評がありますね!
すばらしい学び、ぜひ楽しんでください!

さて、知識というものは、もともとオープンエンドなもので、医学に関する知見だけをとっても、常に増大し続けています。

ですから、すべてを網羅することは、不可能です。

ただ、脳への負荷トレーニングとしては、知識をみにつけるということは意味があると思います。

完全は無理なので、ベストエフォートで楽しむことが大切です。

負荷を活かすためには、プレッシャーを感じすぎずに、よろこびに変えることが重要なのです。

また、気晴らしに、他の分野の本を読んだり、音楽を聞いたりするのも良いかもしれません。

私の尊敬するすばらしい医学者の方々のなかには、医学部の時に物理を勉強していた、というような方が案外いらっしゃいます。

ハンガリー、楽しんでくださいね!

nounandemo
 
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