中心を外さずに。 第44回

 結局、日本の教育の問題点は、言語を使うこと(読む、書く、話す)を、細切れの点数化しやすいようなパーツに分解して、それで評価するように進化(退化)してしまっている点にある。

 たとえば、すぐれた戯曲をみんなで上演するというのはたいへん重要な教育だと思う(ドラマエデュケーション)。あるいは、一つのテーマについてエッセイを書くこと(英語のエッセイは、日本語の随筆とはニュアンスが違い、論理的に構成された議論も含む)も、将来必ず役に立つ、とても素敵な課題だ。

 しかし、これらのスキルは、日本の教育では表面に出ない。なぜならば、これらの課題は、細切れ点数化が難しいからだ。

 本当は、人間にとって大切な学び、課題は、センター試験のようなちまちました点数化ができないことなのに。

 学びのパフォーマンスがちまちまと細かく点数化できるという愚かな幻想から、日本の教育現場が解放されない限り、日本の子どもたちはチイチイパッパのスズメの学校で小さく前にならえをさせられるという気の毒な境遇から解放されない。

 点数化をあきらめよう。


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