中心を外さずに。 第19回

 首都大学東京の谷口功一さんと、NHKの「クローズアップ現代+」のスタッフの方とのやりとりについて、私が感じたことを記させていただきます。

 まず、「首都大学東京」という宛名が「首都大学」と記されていたことについては、確かにスタッフの方の不注意ですね。
 ただ、このようなことは時折見られるように思います。
 誰にでも不注意はあるので、それだけであれこれ言うのは厳しすぎるのではないでしょうか。

 さて、続いて、「スナック」について、NHKのスタッフの方の認識が足りなかったという点について。
 谷口さんは、ご著書もあるくらいに研究されているわけで、スタッフの方と、谷口さんとの間に知識や認識の「非対称性」があることは、仕方がないことではないでしょうか。
 スタッフの認識が足りないとしても、ご自身が関心をもたれてきたことだからこそ、谷口さんがそれを補い、より深い、広い世界へ導くことができたのだと思います。

 また、公共的な資金が投入されている大学の研究者としても、そのような態度こそが、意義あるものになるのではないでしょうか。

 私自身、脳科学についてテレビの関係の方からお問い合わせいただいた時、認識が稚拙だな、と感じることはしばしばありますが、むしろ、そのような時にこそ、有意義なコミュニケーションができる可能性が高いように思います。
 「こういう論文があります」とお示ししたり、「むしろ、このような視点はどうですか」と提案させていただいたりします。

 以上は、私の個人的な感想であり、谷口さんは、ご自身のご見識で一つの判断をされたのだと理解しています。

 なお、谷口功一さんのご著書、『日本の夜の公共圏:スナック研究序説』は是非読んでみたいと思ったので、注文いたしました。
 たのしみです。

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