先日、新幹線で移動中に遅ればせながらクリストファー・ノーラン監督の『インセプション』を見たのだけれども、いちばん感心したのは、(これくらい断片的に書いてもネタバレにはならないと思うんだけれども)、自動車が落ちていくシーンで、眠っている人たちの手が上にだらーんとのびるところだった。

危機のはずなんだけど、不思議な浮遊感があって、ノーランさんのこの感じが、ぼくにはぐっとくる。

『インターステラー』で言えば、トウモロコシ畑の上をドローンが飛んでいくシーンで、こんなシーンを見ただけでも、ぼくは、この監督の作品に出会ってよかったと思う。
『インセプション』のアイデアも、夢の階層とその間の時間の関係が非凡だと思った。
そして、重大な秘密が隠されているその「要塞」の造型。
もっとも抽象的なものが夢の中ではもっとも具象的なものになるというその転換式は、納得の行くものであった。

今、もっとも新作が楽しみな監督の一人と言ってよいだろう。

(クオリア日記)


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